この『恋』の言い換えをするならば『瑕疵』(かし)です

お兄ちゃんとタクシーで
私のアパートまで帰って来た



「瑛茉、水飲む?」



「大丈夫、大丈夫…」



「大丈夫じゃないよ
だいぶ酔ってるだろ」



「ホントに、ちょっと
少ししか飲んでないのに、な…」



「まだ未成年だろ」



またお兄ちゃんぶって



「お兄ちゃんだって
高校の時から飲んでなかった?」



「アレは、お父さんの付き合い
そのおかげで酒強くなったし…
瑛茉、よく飲みに誘われるの?」



「んーん…
初めて…
サークルの先輩たちが誘ってくれて…
初めて、お酒飲んだ」



初めて…



でも、お酒の味は知ってた



「瑛茉、もぉ飲まない方がいいよ
今日だってオレが偶然通らなかったら…」



通らなかったら

どぉなってた?



「朝、気付いたら道で寝てたかもね…」



「そーゆーことじゃない」



「お兄ちゃん、心配?
心配なんかしてないか…」



ぜんぜん連絡もくれなかったもんね



「心配だよ」



ウソ…



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