この『恋』の言い換えをするならば『瑕疵』(かし)です
目を開けたら
外が明るかった
私はベッドの上にいた
昨日お兄ちゃんと…
お兄ちゃんと…
ドッ…ドッ…ドッ…
またあの音が鳴る
前もこんな夢見たかも
何回も見た
お兄ちゃんが好きすぎて
「瑛茉…起きた?」
ベッドから離れたところで
お兄ちゃんが座ってるのが見えた
ベッドの上
布団の中を確認した
服は乱れてない
なんとなくホッとした
「昨日、私だいぶ酔ってたよね
お兄ちゃんが連れてきてくれたの?
全然覚えてないや…」
お兄ちゃんの唇の感覚を思い出しながら
嘘をつく
「瑛茉、覚えてないんだ
やっぱりだいぶ酔ってたのか」
「うん…」
「そっか…
オレも覚えてない
じゃあ、オレ、帰るわ
たまには帰って来いよ
お母さんもお父さんも待ってるから」
「うん…」
お兄ちゃんは優しくてズルい
私はもっとズルい
終わった
言えなかった
好きだって
好きだって言ってたら
お兄ちゃんどぉしてた?
全部覚えてるって言ったら
お兄ちゃんどぉしてた?
お酒飲んで記憶なくなったことないって
昨日は言ってたのにね…
今日も覚えてないふりしてくれた
お兄ちゃんは
やっぱり私のお兄ちゃんだ
お兄ちゃんは
また私のお兄ちゃんに戻って帰って行った
私は
ずっとお兄ちゃんの妹だ