廻った世界で,また君と恋を紡ぐ。


「なんか,楽しそうだったね紅葉。内気で人見知り。その上年下にも敬語がデフォなのに。最後なんてめちゃめちゃタメだったじゃん」



あのレベルは初めて見たよ,と。

お姉ちゃんはさらり盗撮していた私の笑顔を見せつけてくる。

私もそれを見て,驚いた。

ずっとタメ語だったのも,あの人は指摘しなかったから。

帰っちゃった今になって,初めて気がついたのだった。



「そういえば,そうだね」



私がずっと敬語を使ってきたのには,理由がある。

敬語をある程度使えないといけない年齢になった頃。

私は1つの悩みに侵された。

上を見ても,下を見ても。

私からしてみれば,何をされても許せる子供。

そのギャップが拭えなくて,余計なトラブルを起こす前にとそうしたのだった。

最近は元の年齢に近づいたことや,友達が増えたこともあって。

だから今日も気が抜けたのかもしれないと私は思う。



「また連れてこよっか?」



お姉ちゃんの言葉に,私は驚いた。

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