あなたの霊を守ります 霊キャプター宮城の一日
笹尾はレーシングコースを歩きながら考え込んでいた。 (山、、、呪い、、、室町、、、。 共通点が有るような無いような、、、。)
そこへコースを洗浄している人たちがやってきた。 「お疲れ様です。 何か見付かりましたか?」
「この通り。 何も無いよ。」 「そうですか。 我々はこれからトンネルへ向かいます。」
「大変だね。 気を付けるんだよ。」 彼はスイーパーを見送るとまた歩き始めた。
そこへ向こうから歩いてくる人が居る。 身構えてはみたものの、それはウェザーセンターの金森美幸だった。
「おやおや、金森さんじゃないか。 どうしたね?」 「いやあ、暇だったから散歩してるんですよ。」
「そうかい。 私はこのコースがどうも気になって見て歩いてるんだ。」 「ああ、あの宮城さんの事故ですね?」
「そうだ。 君は何か気付かなかったか?」 「うーん、、、そうだ。 あの日、局所的に雷が落ちてたんですよ。」
「雷だって? 気付かなかったけれど、、、。」 「レーダーには雷雲が写ってましたよ。」
「この辺に雷雲は無かったぞ。」 「おかしいな。 確かにあれは雷雲だったんだけどなあ。」
美幸は辺りを見回した。 しかし落雷の形跡も見付からない。
「センターのほうでは確かに音も聞こえたんですよ。 みんなで何処かに落ちたなって話し合ってたんです。」 「不思議なことも有るもんだな。 まあ、気を付けてくれよ。」
「分かりました。」 美幸と別れた笹尾はまた歩き始めた。
その頃、宮城茂は大学病院に搬送されて、様々な検査を受けていた。
「異常は見付かりませんね。 でもどうして鹿児島から東京まで飛んだんでしょうか?」 「それは俺が聞きたいよ。」
川嶋は不服そうに医者を見上げた。 「医学的には分かりません。」
「それは分かってるんだ。 俺は俺で調査を続けるよ。」 「そうしてください。」
担当医師は素っ気なくそう言うと病室を出て行った。
『山 呪い 室町。』
笹尾たちが右往左往している所へまたまた意味不明なメールが送られてきた。 「おいおい、そんなメールをいちいち拾うんじゃないよ。」
「そんなこと言ったって来る物は拒めませんよ。」 「それはそうだろうが、差出人もアドレスも分からないんじゃ対処しようが無いじゃないか。」
事務所も険悪な空気に満ちてきた。 すると、、、。
突然に天井の一部が崩れて落ちた。 「この事務所も古くなったなあ。」
「何言ってるんだ。 去年大掛かりな修理をしたばかりじゃないか。」 「それもそうだ。」
「それはそうと宮城君の居場所は突き止められたのか?」 「なんだか、川嶋さんは情報を得てるみたいなんですけど、、、。」
事務員 小野田翔子が自信無さげに伝える所によると、、、。
「どうやら宮城さんは東京に居るようなんです。」 「は? 東京?」
「はい。 明治神宮の近くで発見されて大学病院に収容されているんだとか何とか、、、。」 「まあいい。 川嶋君からいずれ連絡が有るだろう。」
それにしても訳の分からない事件である。 渚だけは何かに感づいているようなんだが、、、。
それから十日後、川嶋に付き添われて宮城茂が帰ってきた。
「おー、宮城か。 大丈夫なのか?」 「すいません。 すっかり迷惑を掛けてしまって、、、。」
彼は机の上に置いてある花束に目をやった。 「これは吉田さんが置いたやつですね?」
「そうだが、誰かに聞いたのか?」 「いや、花を見ていたら吉田さんが寂しそうな顔で置いている姿が見えたんですよ。」
「おいおい、冗談はやめてくれよ。 霊媒師じゃないんだから。」 「でも三日前ですよね?」
「あああ、そうだ。」
三日前、東京で宮城が発見された頃、渚がこの花束を机に置いたんだ。 「どうしても心配で寝れなくて、、、。」
「とはいうけど、明日には川嶋君が本人と会うんだ。 それからじゃないと本当のことは分からないよ。」 「とは言いますけど、、、。」
「渚はエンジニアとして宮城君にずっと付いてたんだ。 心配するのも分かるよ。 でもしばらく休んだほうがいい。 君まで倒れたらどうしようもないぞ。」
「分かりました。」 以来、渚は四日ほどの休暇を取っている。
そこへ宮城が帰ってきたのだった。
渚は若くしてスペシャルエンジニアの資格を取った。 そして宮城が乗るスプリンターフラッシュのチーフエンジニアとして働いてきたんだ。
「今日もエンジンは最高だね。」 「ありがとうございます。」
長年、テストドライバーとして様々な車を乗りこなしてきた宮城茂はいつもご機嫌で言うのである。 「よろしくお願いします。」
渚が頭を下げると宮城は運転席に乗り込んでアクセルを吹かす。 あの日も同じように、、、。
「ところで、どんな感じだったんだ?」 「消えた瞬間ですか?」
「消えたというか消されたというか、、、。」 「そうだなあ、、、。 トンネルを貫けようとした瞬間に閃光が見えたんです。 そしたら気を失ってしまって、、、。」
「気を失った?」 「そう。 まるで全身麻酔でもされてるような気になって、フワーーーっとして一気に意識が無くなったんです。」
「意識をね、、、。」 二人が話していると渚が入ってきた。
「宮城さん、無事だったんですね?」 「心配させちゃったね。 でももう大丈夫だよ。」
「本当に大丈夫なんですか?」 「見ろ。 ピンピンしてるよ。」
「それは良かった。」 渚の表情はどこか冴えない。
宮城は不可解な気持ちを抱いたまま、スプリンターフラッシュのメンテナンスブースへ出掛けて行った。
「車はばっちりだね。」 「そりゃあもちろん、吉田さんですから。」
「じゃあ、この2号で走ってくるよ。」 「お気を付けて。」
サポートエンジニアの佐藤雄介が彼を見送る。 宮城はコースへ出て行った。
「しかしだなあ、川嶋君 鹿児島から東京へどうやったら飛んでいけるんだい?」 「それは俺にも分かりませんよ。 宮城にだって分かってないんじゃないかなあ?」
「テレポートだったらどうしますか?」 「おいおい、吉田さんまで何だよ。」
「今の時代でも怪奇現象は起きてるんです。 テレポートさせられていても不思議じゃないと思いますよ。」 「自信たっぷりだなあ。 まるで吉田さんがやったみたいじゃないか。」
「あ、宮城さんがコースを走ってます。 見に行ってきます。」 渚はスプリンターフラッシュの影を認めるとコース脇の管制室へ飛んで行った。
この頃、ニューヨークでは、、、。
「日本で何かが起きてるな。 ジョー、調べてくれないか?」 「分かりました。」
サングラスをかけた背の高い男がジョーという男に何かの調査を依頼している。 この人たちはいったい何をしようとしているのか?
「アーシー、何かすごい力を感じます。 どうしましょう?」 「おそらくはやつらだ。 やつらが何かを始めようとしている。 俺たちだけでは呑み込まれてしまうぞ。」
ジョーと入れ替わりに入ってきたポニーテールの女が危機迫る顔で訴えてくる。 「彼の力が必要だ。」
「宮城茂ですね?」 「そうだ。 呼んでくれ。」
そんなことも知らずに宮城は車を走らせている。 1号はどうしたのかって?
東京へ飛ばされている間に粉々に砕かれてしまったらしい。 惜しいことをしたもんだ。
そこへコースを洗浄している人たちがやってきた。 「お疲れ様です。 何か見付かりましたか?」
「この通り。 何も無いよ。」 「そうですか。 我々はこれからトンネルへ向かいます。」
「大変だね。 気を付けるんだよ。」 彼はスイーパーを見送るとまた歩き始めた。
そこへ向こうから歩いてくる人が居る。 身構えてはみたものの、それはウェザーセンターの金森美幸だった。
「おやおや、金森さんじゃないか。 どうしたね?」 「いやあ、暇だったから散歩してるんですよ。」
「そうかい。 私はこのコースがどうも気になって見て歩いてるんだ。」 「ああ、あの宮城さんの事故ですね?」
「そうだ。 君は何か気付かなかったか?」 「うーん、、、そうだ。 あの日、局所的に雷が落ちてたんですよ。」
「雷だって? 気付かなかったけれど、、、。」 「レーダーには雷雲が写ってましたよ。」
「この辺に雷雲は無かったぞ。」 「おかしいな。 確かにあれは雷雲だったんだけどなあ。」
美幸は辺りを見回した。 しかし落雷の形跡も見付からない。
「センターのほうでは確かに音も聞こえたんですよ。 みんなで何処かに落ちたなって話し合ってたんです。」 「不思議なことも有るもんだな。 まあ、気を付けてくれよ。」
「分かりました。」 美幸と別れた笹尾はまた歩き始めた。
その頃、宮城茂は大学病院に搬送されて、様々な検査を受けていた。
「異常は見付かりませんね。 でもどうして鹿児島から東京まで飛んだんでしょうか?」 「それは俺が聞きたいよ。」
川嶋は不服そうに医者を見上げた。 「医学的には分かりません。」
「それは分かってるんだ。 俺は俺で調査を続けるよ。」 「そうしてください。」
担当医師は素っ気なくそう言うと病室を出て行った。
『山 呪い 室町。』
笹尾たちが右往左往している所へまたまた意味不明なメールが送られてきた。 「おいおい、そんなメールをいちいち拾うんじゃないよ。」
「そんなこと言ったって来る物は拒めませんよ。」 「それはそうだろうが、差出人もアドレスも分からないんじゃ対処しようが無いじゃないか。」
事務所も険悪な空気に満ちてきた。 すると、、、。
突然に天井の一部が崩れて落ちた。 「この事務所も古くなったなあ。」
「何言ってるんだ。 去年大掛かりな修理をしたばかりじゃないか。」 「それもそうだ。」
「それはそうと宮城君の居場所は突き止められたのか?」 「なんだか、川嶋さんは情報を得てるみたいなんですけど、、、。」
事務員 小野田翔子が自信無さげに伝える所によると、、、。
「どうやら宮城さんは東京に居るようなんです。」 「は? 東京?」
「はい。 明治神宮の近くで発見されて大学病院に収容されているんだとか何とか、、、。」 「まあいい。 川嶋君からいずれ連絡が有るだろう。」
それにしても訳の分からない事件である。 渚だけは何かに感づいているようなんだが、、、。
それから十日後、川嶋に付き添われて宮城茂が帰ってきた。
「おー、宮城か。 大丈夫なのか?」 「すいません。 すっかり迷惑を掛けてしまって、、、。」
彼は机の上に置いてある花束に目をやった。 「これは吉田さんが置いたやつですね?」
「そうだが、誰かに聞いたのか?」 「いや、花を見ていたら吉田さんが寂しそうな顔で置いている姿が見えたんですよ。」
「おいおい、冗談はやめてくれよ。 霊媒師じゃないんだから。」 「でも三日前ですよね?」
「あああ、そうだ。」
三日前、東京で宮城が発見された頃、渚がこの花束を机に置いたんだ。 「どうしても心配で寝れなくて、、、。」
「とはいうけど、明日には川嶋君が本人と会うんだ。 それからじゃないと本当のことは分からないよ。」 「とは言いますけど、、、。」
「渚はエンジニアとして宮城君にずっと付いてたんだ。 心配するのも分かるよ。 でもしばらく休んだほうがいい。 君まで倒れたらどうしようもないぞ。」
「分かりました。」 以来、渚は四日ほどの休暇を取っている。
そこへ宮城が帰ってきたのだった。
渚は若くしてスペシャルエンジニアの資格を取った。 そして宮城が乗るスプリンターフラッシュのチーフエンジニアとして働いてきたんだ。
「今日もエンジンは最高だね。」 「ありがとうございます。」
長年、テストドライバーとして様々な車を乗りこなしてきた宮城茂はいつもご機嫌で言うのである。 「よろしくお願いします。」
渚が頭を下げると宮城は運転席に乗り込んでアクセルを吹かす。 あの日も同じように、、、。
「ところで、どんな感じだったんだ?」 「消えた瞬間ですか?」
「消えたというか消されたというか、、、。」 「そうだなあ、、、。 トンネルを貫けようとした瞬間に閃光が見えたんです。 そしたら気を失ってしまって、、、。」
「気を失った?」 「そう。 まるで全身麻酔でもされてるような気になって、フワーーーっとして一気に意識が無くなったんです。」
「意識をね、、、。」 二人が話していると渚が入ってきた。
「宮城さん、無事だったんですね?」 「心配させちゃったね。 でももう大丈夫だよ。」
「本当に大丈夫なんですか?」 「見ろ。 ピンピンしてるよ。」
「それは良かった。」 渚の表情はどこか冴えない。
宮城は不可解な気持ちを抱いたまま、スプリンターフラッシュのメンテナンスブースへ出掛けて行った。
「車はばっちりだね。」 「そりゃあもちろん、吉田さんですから。」
「じゃあ、この2号で走ってくるよ。」 「お気を付けて。」
サポートエンジニアの佐藤雄介が彼を見送る。 宮城はコースへ出て行った。
「しかしだなあ、川嶋君 鹿児島から東京へどうやったら飛んでいけるんだい?」 「それは俺にも分かりませんよ。 宮城にだって分かってないんじゃないかなあ?」
「テレポートだったらどうしますか?」 「おいおい、吉田さんまで何だよ。」
「今の時代でも怪奇現象は起きてるんです。 テレポートさせられていても不思議じゃないと思いますよ。」 「自信たっぷりだなあ。 まるで吉田さんがやったみたいじゃないか。」
「あ、宮城さんがコースを走ってます。 見に行ってきます。」 渚はスプリンターフラッシュの影を認めるとコース脇の管制室へ飛んで行った。
この頃、ニューヨークでは、、、。
「日本で何かが起きてるな。 ジョー、調べてくれないか?」 「分かりました。」
サングラスをかけた背の高い男がジョーという男に何かの調査を依頼している。 この人たちはいったい何をしようとしているのか?
「アーシー、何かすごい力を感じます。 どうしましょう?」 「おそらくはやつらだ。 やつらが何かを始めようとしている。 俺たちだけでは呑み込まれてしまうぞ。」
ジョーと入れ替わりに入ってきたポニーテールの女が危機迫る顔で訴えてくる。 「彼の力が必要だ。」
「宮城茂ですね?」 「そうだ。 呼んでくれ。」
そんなことも知らずに宮城は車を走らせている。 1号はどうしたのかって?
東京へ飛ばされている間に粉々に砕かれてしまったらしい。 惜しいことをしたもんだ。