水色の手紙をあなたに
もちろん、芳江からも連絡は来ない。 彼女自身が東京本社へ出張するらしいから。
「通年の営業実績を報告してくるわ。 ついでに問題点も洗い出しておいたからそれも報告しなきゃ、、、なのよ。」 「大変ですねえ。」
「毎年のことよ。 んでも、吉田君のことは書いてないから安心してね。」 「ぼくのこと?」
「そうそう。 最近はすごーーーーーーく頑張ってくれてるから応援しなきゃねえ。」 「それって、、、、いつか首にしたかったってことですか?」
「違うわよーー。 彼氏を首にしてどうするのよ?」 「そんな大げさ、、、。 部長に聞かれたらまずいっす。」
ニコッと笑う芳江の頭を小突いてみる。 「やったなあ。」
芳江も出勤簿で応戦する。 なんていう課長と部下、、、。
雅子さんはまだまだ眠っている。 (受け取ってくれって言ってたよな。 どういうことなんだろう?)
一人になった自分と同棲してくれってことなんだろうか? それとも結婚しろってことなんだろうか?
どちらにしても早急に答えを出せるような問題ではない。 いいとも嫌とも言えないのだ。
YouTubeで適当に見付けたジャズを掛けてみる。 朝ののんびりした雰囲気には合いそうだ。
時々は寝室を覗いてみる。 雅子さんはまだまだ眠ったまま、、、。
死んでいるのではないかと思うくらいに動きもしない。 毛布をそっと剥いでみる。
昨日、激しく抱いた体がそこに在る。 ぼくはまた上に重なってみた。
「いいのよ。 全部奪い尽くしても。」 小さな声が聞こえた。
ドキッとして雅子さんの様子を伺ってみる。 まだまだ眠っているようだ。
ホッとしたついでにキャミを脱がしてみた。 夜には見慣れていたはずの体がそこに在った。
薄暗い車内で見るのとはまたまた違って見える。 そりゃそうだろうよ。
カーテンは閉まっているけれど、お日様が出てるわけだし、、、。 それにしても可愛い人だったんだなあ。
暗闇の中ではどことなく魔女にさえ見えたのに、、、。
「うーーーん、、、。」 雅子さんが寝返りを打ちながら唸っている。
そして何かを探すように手を伸ばしてきた。
ゴミ収集車がやってきた。 そしてステーションに集められていたゴミを抱えて行った。
(静かな一日になりますように。) そう願いながら雅子の隣に寝転がってみる。
腕枕をし、抱き寄せてみる。 モゴモゴと動いている雅子さんはそのままぼくの上に重なってきた。
「これじゃあ朝から我慢できないよ。」 雅子をひっくり返すと昨夜のように絡んでみる。
下着も全て脱がして求めるだけ求めてみる。 男が獣になる瞬間だった。
熱い吐息が絡み合い、汗が飛び散る。 骨の髄まで奪い尽くすようなセックス、、、。
もちろん、芳江のことなど脳裏にすら浮かんでこない。 初めてだった。
「幸一さん、すごかった。 でも嬉しかったわ。」 二人でシャワーを浴びながら見詰め合ってみる。
初めての感覚にぼくは震えていた。
昼になり、雅子さんは台所に立った。 「今日は、、、焼きそばにしましょうか。」
フライパンを取り上げ、肉屋キャベツを炒め始める。 それからそばを、、、。
(うちの冷蔵庫にはそんなの入ってなかったぞ。) 疑問に思っていると雅子さんが振り向いた。
「いいの。 吉田さんの冷蔵庫には無いだろうと思ったから出掛ける前に買っておいたのよ。」 (そうか、、、それであのバッグが、、、。)
車に乗った時、後部座席に大きめのバッグを載せたんだ。 何が入っているのか不思議だった。
「さあ、出来ましたよ。」 二人の皿に焼きそばを盛り付けていく。 青海苔まで用意してあった。
何だか昔ながらの焼きそばだ。 上の人たちなら懐かしがりそうなデパートの焼きそば。
母さんに聞いたことが有る。 「デパートの一階には必ず焼きそばを売ってる店が在ってね。 おばちゃんが炒めてくれたの。 ソース焼きそばだったなあ。」
いつの間にか焼きそば屋は無くなってしまってフードコートに生まれ変わった。
そこにはなぜかフルーツジュースも売られていて、焼きそばを食べながらミカンやバナナのジュースを飲んだんだって。 どんな思いだったんだろうなあ?
昭和って振り返ると暖かい時代だったんだね。 ふつうに誰もが仲良しだった。
今は隣の人でさえ知らないし話もしない。 関りを避けている。
こんな時代でいいのだろうか?
焼そばを食べ終わると雅子さんは洗濯を始めた。 「溜まってますねえ。」
苦笑しながら洗剤を放り込んでスイッチを入れる。 それを確認した雅子さんはテーブルに戻ってきた。
「いつもは何をしてるの?」 「そうだなあ、これって趣味は無いから本を読んだり散歩したり、、、。」
「散歩化、、、。 キャミじゃあ無理よねえ。」 なんだか寂しそうに笑っている。
またまたそれが堪らなく愛おしく思えてきて真昼間から雅子さんを強く抱き締めてしまった。
(俺って何なんだろう?) 芳江にドキドキしたり雅子さんと絡んだり、、、。
どちらも悪い人じゃない。 でもこんなんでいいのかな?
芳江は何だか幸せそうだし、雅子さんは離婚直後だからフワフワしてるし、、、。
昼食を食べ終わった俺たちは居間でゴロゴロしている。 (夜になったら送らなきゃな。)
そんなことを考えていると「明日まで居てもいい?」って聞いてきた。 「明日?」
「ダメですか?」 「明日は仕事で居ないんだよなあ。」
「ダメか、、、。」 雅子さんはどこかしょんぼりしたようだ。
それからしばらく何も話さずにテレビを見ているんだけど、なんか落ち着かない。
窓を開けてみる。 前の通りを救急車が走り抜けていくのが見えた。 (ここもよく救急車が通るなあ。)
雅子さんは不意に立ち上がると洗濯機を開けて洗濯物を取り出し始めた。 「干しておきますね。」
「いや、そこまでは、、、。」 「いいの。 やらせてください。」
その目がまたなんとも寂しそうなんだ。 折れちゃったね。
洗濯物を干してしまうと雅子さんはまたまた隣に座った。 「吉田さんの隣にずっと居たいわ。」
肩に頭を乗せてみたりする。 またまた吐息を身近に感じている。
(おいおい、これじゃあ呑み込まれてしまうぞ。) とは思うのだが、どうしていいのか分からない。
芳江だって今日はずっと居ないのだから。
夕方になった。 テレビも面白くなくて二人で床に寝そべっている。
「帰ったほうがいいかな、、、?」 雅子さんがボソッと呟いた。
それがまた異様なくらいに寂しく聞こえるからドキッとしてしまう。 (泊めてもいいかな。)
けれど、明日は仕事で居ないし冷蔵庫も食料はそんなに入っていない。
ごそっと起きだした俺は車の鍵を持った。 「何処に行くの?」
「買い物でも行こうかと思って、、、。」 「買い物か。 一緒に行ってもいい?」
「んんんんんん、、、いいよ。」 それを聞いた雅子さんは嬉しそうに玄関へ向かった。
二人で車に乗り込み、いざ買い物へ、、、。 スーパーに入ると速足で売り場を巡る。
雅子さんも急ぎ足で付いてくる。 「速いのねえ。」
「買い物は早く済ませた方がいいなと思って、、、。」 「私がキャミだから?」
「それも有るけど、、、。」 「他には?」
「早く帰って落ち着きたいなと思って。」 それで野菜やら肉やらラーメンやら手に取ると籠に突っ込んで行く。
レジを済ませて外へ出ると先に出ていた雅子さんが走り寄ってきた。 「荷物持つわよ。」
なんか嬉しそうに買い物袋を下げている。 旦那さんが居た時もそうだったのかなあ?
「いっぱい買わせちゃったね。 ごめんなさいね。」 膨らんでいる買い物袋を見ながら雅子さんは楽しそう。
離婚も決着してすっきりしたからかなあ? それとも?
「通年の営業実績を報告してくるわ。 ついでに問題点も洗い出しておいたからそれも報告しなきゃ、、、なのよ。」 「大変ですねえ。」
「毎年のことよ。 んでも、吉田君のことは書いてないから安心してね。」 「ぼくのこと?」
「そうそう。 最近はすごーーーーーーく頑張ってくれてるから応援しなきゃねえ。」 「それって、、、、いつか首にしたかったってことですか?」
「違うわよーー。 彼氏を首にしてどうするのよ?」 「そんな大げさ、、、。 部長に聞かれたらまずいっす。」
ニコッと笑う芳江の頭を小突いてみる。 「やったなあ。」
芳江も出勤簿で応戦する。 なんていう課長と部下、、、。
雅子さんはまだまだ眠っている。 (受け取ってくれって言ってたよな。 どういうことなんだろう?)
一人になった自分と同棲してくれってことなんだろうか? それとも結婚しろってことなんだろうか?
どちらにしても早急に答えを出せるような問題ではない。 いいとも嫌とも言えないのだ。
YouTubeで適当に見付けたジャズを掛けてみる。 朝ののんびりした雰囲気には合いそうだ。
時々は寝室を覗いてみる。 雅子さんはまだまだ眠ったまま、、、。
死んでいるのではないかと思うくらいに動きもしない。 毛布をそっと剥いでみる。
昨日、激しく抱いた体がそこに在る。 ぼくはまた上に重なってみた。
「いいのよ。 全部奪い尽くしても。」 小さな声が聞こえた。
ドキッとして雅子さんの様子を伺ってみる。 まだまだ眠っているようだ。
ホッとしたついでにキャミを脱がしてみた。 夜には見慣れていたはずの体がそこに在った。
薄暗い車内で見るのとはまたまた違って見える。 そりゃそうだろうよ。
カーテンは閉まっているけれど、お日様が出てるわけだし、、、。 それにしても可愛い人だったんだなあ。
暗闇の中ではどことなく魔女にさえ見えたのに、、、。
「うーーーん、、、。」 雅子さんが寝返りを打ちながら唸っている。
そして何かを探すように手を伸ばしてきた。
ゴミ収集車がやってきた。 そしてステーションに集められていたゴミを抱えて行った。
(静かな一日になりますように。) そう願いながら雅子の隣に寝転がってみる。
腕枕をし、抱き寄せてみる。 モゴモゴと動いている雅子さんはそのままぼくの上に重なってきた。
「これじゃあ朝から我慢できないよ。」 雅子をひっくり返すと昨夜のように絡んでみる。
下着も全て脱がして求めるだけ求めてみる。 男が獣になる瞬間だった。
熱い吐息が絡み合い、汗が飛び散る。 骨の髄まで奪い尽くすようなセックス、、、。
もちろん、芳江のことなど脳裏にすら浮かんでこない。 初めてだった。
「幸一さん、すごかった。 でも嬉しかったわ。」 二人でシャワーを浴びながら見詰め合ってみる。
初めての感覚にぼくは震えていた。
昼になり、雅子さんは台所に立った。 「今日は、、、焼きそばにしましょうか。」
フライパンを取り上げ、肉屋キャベツを炒め始める。 それからそばを、、、。
(うちの冷蔵庫にはそんなの入ってなかったぞ。) 疑問に思っていると雅子さんが振り向いた。
「いいの。 吉田さんの冷蔵庫には無いだろうと思ったから出掛ける前に買っておいたのよ。」 (そうか、、、それであのバッグが、、、。)
車に乗った時、後部座席に大きめのバッグを載せたんだ。 何が入っているのか不思議だった。
「さあ、出来ましたよ。」 二人の皿に焼きそばを盛り付けていく。 青海苔まで用意してあった。
何だか昔ながらの焼きそばだ。 上の人たちなら懐かしがりそうなデパートの焼きそば。
母さんに聞いたことが有る。 「デパートの一階には必ず焼きそばを売ってる店が在ってね。 おばちゃんが炒めてくれたの。 ソース焼きそばだったなあ。」
いつの間にか焼きそば屋は無くなってしまってフードコートに生まれ変わった。
そこにはなぜかフルーツジュースも売られていて、焼きそばを食べながらミカンやバナナのジュースを飲んだんだって。 どんな思いだったんだろうなあ?
昭和って振り返ると暖かい時代だったんだね。 ふつうに誰もが仲良しだった。
今は隣の人でさえ知らないし話もしない。 関りを避けている。
こんな時代でいいのだろうか?
焼そばを食べ終わると雅子さんは洗濯を始めた。 「溜まってますねえ。」
苦笑しながら洗剤を放り込んでスイッチを入れる。 それを確認した雅子さんはテーブルに戻ってきた。
「いつもは何をしてるの?」 「そうだなあ、これって趣味は無いから本を読んだり散歩したり、、、。」
「散歩化、、、。 キャミじゃあ無理よねえ。」 なんだか寂しそうに笑っている。
またまたそれが堪らなく愛おしく思えてきて真昼間から雅子さんを強く抱き締めてしまった。
(俺って何なんだろう?) 芳江にドキドキしたり雅子さんと絡んだり、、、。
どちらも悪い人じゃない。 でもこんなんでいいのかな?
芳江は何だか幸せそうだし、雅子さんは離婚直後だからフワフワしてるし、、、。
昼食を食べ終わった俺たちは居間でゴロゴロしている。 (夜になったら送らなきゃな。)
そんなことを考えていると「明日まで居てもいい?」って聞いてきた。 「明日?」
「ダメですか?」 「明日は仕事で居ないんだよなあ。」
「ダメか、、、。」 雅子さんはどこかしょんぼりしたようだ。
それからしばらく何も話さずにテレビを見ているんだけど、なんか落ち着かない。
窓を開けてみる。 前の通りを救急車が走り抜けていくのが見えた。 (ここもよく救急車が通るなあ。)
雅子さんは不意に立ち上がると洗濯機を開けて洗濯物を取り出し始めた。 「干しておきますね。」
「いや、そこまでは、、、。」 「いいの。 やらせてください。」
その目がまたなんとも寂しそうなんだ。 折れちゃったね。
洗濯物を干してしまうと雅子さんはまたまた隣に座った。 「吉田さんの隣にずっと居たいわ。」
肩に頭を乗せてみたりする。 またまた吐息を身近に感じている。
(おいおい、これじゃあ呑み込まれてしまうぞ。) とは思うのだが、どうしていいのか分からない。
芳江だって今日はずっと居ないのだから。
夕方になった。 テレビも面白くなくて二人で床に寝そべっている。
「帰ったほうがいいかな、、、?」 雅子さんがボソッと呟いた。
それがまた異様なくらいに寂しく聞こえるからドキッとしてしまう。 (泊めてもいいかな。)
けれど、明日は仕事で居ないし冷蔵庫も食料はそんなに入っていない。
ごそっと起きだした俺は車の鍵を持った。 「何処に行くの?」
「買い物でも行こうかと思って、、、。」 「買い物か。 一緒に行ってもいい?」
「んんんんんん、、、いいよ。」 それを聞いた雅子さんは嬉しそうに玄関へ向かった。
二人で車に乗り込み、いざ買い物へ、、、。 スーパーに入ると速足で売り場を巡る。
雅子さんも急ぎ足で付いてくる。 「速いのねえ。」
「買い物は早く済ませた方がいいなと思って、、、。」 「私がキャミだから?」
「それも有るけど、、、。」 「他には?」
「早く帰って落ち着きたいなと思って。」 それで野菜やら肉やらラーメンやら手に取ると籠に突っ込んで行く。
レジを済ませて外へ出ると先に出ていた雅子さんが走り寄ってきた。 「荷物持つわよ。」
なんか嬉しそうに買い物袋を下げている。 旦那さんが居た時もそうだったのかなあ?
「いっぱい買わせちゃったね。 ごめんなさいね。」 膨らんでいる買い物袋を見ながら雅子さんは楽しそう。
離婚も決着してすっきりしたからかなあ? それとも?