ラーラとピッピの日記帳
2. アンジェールおばさん
松明を持ったお父さんは夜道を大通りに向かって歩いています。
「ラーラはいったい何処へ行ってしまったんだい?」 立ち寄るであろう知人の家も扉は閉まっています。
ポンテナール先生の学校も暗くて静かです。 「ここにも居ないなあ。」
ラーラはと言うと木の実を食べながら思案に暮れています。 どうしてもピッピを探したいのですが、、、。
ところが、どうやって探したらいいのか分かりません。 祈るような思いで星を見ながら途方に暮れています。
「お父さんたちが探してるかもしれないな。」 そうは思うのですが伝えるすべが有りません。
ピッピはと言うと、絨毯が檜にぶつかって以来眠ったままなのでした。
そんなピッピを冷たくなってきた夜風が包んでいるのです。
「早くしなきゃ、、、。」
ラーラは居たたまれなくなってポンテナール先生の家へ向かって走り始めました。
その頃、お父さんは大通りへ出てきたのですが、ここに叔母のアンジェールが住んでいることを思い出して、家の前に立ちました。
「アンジェールなら何か分かるかもしれない。」 お父さんは家の中に居るおばさんに声を掛けました。
「ラーラかい? 新聞を売っているのは見掛けたけれど、その後は出掛けたから知らないよ。」 「そうか。 アンジェールも知らないのか。」
「そんなに帰ってこないのかい? 心配だけどきっと帰ってくるよ。」 おばさんも思案顔ですが、疲れているお父さんに一つのパンを持たせてくれました。
ホー、、、ホー、、、。 遠く近くフクロウが鳴いています。
森の中を走っているのはラーラだけ。 時々木の根っこに躓きながら懸命に走っています。
「高い木の上に居るであろうピッピを助けるためにはどうすればいいんだ?」
木の隙間からこの間二人で見た月がまん丸く顔を覗かせています。
「あの月をまた二人で見るんだ。」 ラーラはそう思いました。
ポンテナール先生が住んでいるリンゼンベルの町までは少し距離が有ります。 朝までに着けるんでしょうか?
途中にはあの大通りが在って、そこからは一本道なのですが、、、。
「ラーラがここを通った時に目印になるからね。」 そう言っておばさんは扉の脇に松明を掲げてくれています。
ラーラは躓きながら転びながらもやっとその通りまでやってきました。
「ここからはまっすぐなんだ。 早く行かなきゃ、、、。」
しかし12歳の子供が走るには遠すぎました。 ラーラは疲れていたのか、大きな木にもたれるとそのまま眠ってしまいました。
今、ラーラは夢を見ています。 ここはどうやら魔術学校の教室のようです。
たくさんの子供たちの中にピッピも居ます。 今日は重たい物を動かす魔法の勉強です。
「いいですか? ここに置いてある大きなテーブルをあちらの隅まで動かして見せますからねえ。」
先生は深呼吸をして、両腕を大きく振り動かしました。 すると、、、。
大きな大きなテーブルが一気に浮き上がって教室の隅のほうまで飛んで行ってしまったのです。
「すごいすごい!!」 女の子たちが飛んで行ったテーブルを見詰めています。
男の子たちはテーブルの所にまで行って押したり持ち上げたりしています。
3人がかりで持ち上げても動かせないテーブルが簡単に飛んで行ってしまったのです。
ラーラはそれをポカンと見ていました。 「そんなことが出来るのか?」
先生はニコニコしながら「みんなにもやれますよ。 やってみてください。」と言っています。
何人かの生徒が挑戦するのですが、テーブルが動かずに生徒が飛んでしまいました。
「あんなことは無理なんだよ。 出来ないよ。」 ラーラはテーブルをぼんやりと見詰めるだけです。
「そんなこと言わずにさあ、ラーラもやってみようよ。」 ピッピが彼を元気づけるように肩をポンと叩きました。
「重すぎるよ。」 「そんなこと言ってたら何も出来ないよ。」
ピッピはなおもラーラを励ますように笑いかけてきます。
やっとテーブルに近付いた時、馬車が走る音でラーラは目を覚ましました。
「ここはアンジェールおばさんの家の前じゃないか。」 よく見るとおばさんは庭で洗い物をしています。
「ラーラじゃないか。 どうしたんだい?」 おばさんが彼に気付いたのでラーラは全てを話しました。
「そりゃあ大変だ。 あの檜はこの辺じゃあ誰も触りたがらないんだよ。」
ピッピが居るであろう その木はこの辺の人たちには古くから神様のように仰がれている木らしいのです。
そんな木のてっぺんに落ちたとなればどんな災いが降りかかってくるか分からない。
おばさんはラーラに熱い紅茶を出してくれました。
「こうしてばかりはいられない。 早くピッピを助けないと、、、。」
紅茶を飲み干したラーラは急いで学校へ向かいました。
「ラーラはいったい何処へ行ってしまったんだい?」 立ち寄るであろう知人の家も扉は閉まっています。
ポンテナール先生の学校も暗くて静かです。 「ここにも居ないなあ。」
ラーラはと言うと木の実を食べながら思案に暮れています。 どうしてもピッピを探したいのですが、、、。
ところが、どうやって探したらいいのか分かりません。 祈るような思いで星を見ながら途方に暮れています。
「お父さんたちが探してるかもしれないな。」 そうは思うのですが伝えるすべが有りません。
ピッピはと言うと、絨毯が檜にぶつかって以来眠ったままなのでした。
そんなピッピを冷たくなってきた夜風が包んでいるのです。
「早くしなきゃ、、、。」
ラーラは居たたまれなくなってポンテナール先生の家へ向かって走り始めました。
その頃、お父さんは大通りへ出てきたのですが、ここに叔母のアンジェールが住んでいることを思い出して、家の前に立ちました。
「アンジェールなら何か分かるかもしれない。」 お父さんは家の中に居るおばさんに声を掛けました。
「ラーラかい? 新聞を売っているのは見掛けたけれど、その後は出掛けたから知らないよ。」 「そうか。 アンジェールも知らないのか。」
「そんなに帰ってこないのかい? 心配だけどきっと帰ってくるよ。」 おばさんも思案顔ですが、疲れているお父さんに一つのパンを持たせてくれました。
ホー、、、ホー、、、。 遠く近くフクロウが鳴いています。
森の中を走っているのはラーラだけ。 時々木の根っこに躓きながら懸命に走っています。
「高い木の上に居るであろうピッピを助けるためにはどうすればいいんだ?」
木の隙間からこの間二人で見た月がまん丸く顔を覗かせています。
「あの月をまた二人で見るんだ。」 ラーラはそう思いました。
ポンテナール先生が住んでいるリンゼンベルの町までは少し距離が有ります。 朝までに着けるんでしょうか?
途中にはあの大通りが在って、そこからは一本道なのですが、、、。
「ラーラがここを通った時に目印になるからね。」 そう言っておばさんは扉の脇に松明を掲げてくれています。
ラーラは躓きながら転びながらもやっとその通りまでやってきました。
「ここからはまっすぐなんだ。 早く行かなきゃ、、、。」
しかし12歳の子供が走るには遠すぎました。 ラーラは疲れていたのか、大きな木にもたれるとそのまま眠ってしまいました。
今、ラーラは夢を見ています。 ここはどうやら魔術学校の教室のようです。
たくさんの子供たちの中にピッピも居ます。 今日は重たい物を動かす魔法の勉強です。
「いいですか? ここに置いてある大きなテーブルをあちらの隅まで動かして見せますからねえ。」
先生は深呼吸をして、両腕を大きく振り動かしました。 すると、、、。
大きな大きなテーブルが一気に浮き上がって教室の隅のほうまで飛んで行ってしまったのです。
「すごいすごい!!」 女の子たちが飛んで行ったテーブルを見詰めています。
男の子たちはテーブルの所にまで行って押したり持ち上げたりしています。
3人がかりで持ち上げても動かせないテーブルが簡単に飛んで行ってしまったのです。
ラーラはそれをポカンと見ていました。 「そんなことが出来るのか?」
先生はニコニコしながら「みんなにもやれますよ。 やってみてください。」と言っています。
何人かの生徒が挑戦するのですが、テーブルが動かずに生徒が飛んでしまいました。
「あんなことは無理なんだよ。 出来ないよ。」 ラーラはテーブルをぼんやりと見詰めるだけです。
「そんなこと言わずにさあ、ラーラもやってみようよ。」 ピッピが彼を元気づけるように肩をポンと叩きました。
「重すぎるよ。」 「そんなこと言ってたら何も出来ないよ。」
ピッピはなおもラーラを励ますように笑いかけてきます。
やっとテーブルに近付いた時、馬車が走る音でラーラは目を覚ましました。
「ここはアンジェールおばさんの家の前じゃないか。」 よく見るとおばさんは庭で洗い物をしています。
「ラーラじゃないか。 どうしたんだい?」 おばさんが彼に気付いたのでラーラは全てを話しました。
「そりゃあ大変だ。 あの檜はこの辺じゃあ誰も触りたがらないんだよ。」
ピッピが居るであろう その木はこの辺の人たちには古くから神様のように仰がれている木らしいのです。
そんな木のてっぺんに落ちたとなればどんな災いが降りかかってくるか分からない。
おばさんはラーラに熱い紅茶を出してくれました。
「こうしてばかりはいられない。 早くピッピを助けないと、、、。」
紅茶を飲み干したラーラは急いで学校へ向かいました。