先生 ♀ × 生徒 ♀
沈黙が続く。

先に沈黙を破ったのは遥だった。


「言い訳になるかも知れないけど聞いて欲しいの...」

「ん?」

「あの日...後夜祭の前」

「あぁ、あれね(笑)」

「不意にキスされてしまったの...」

「そっか」

「なんでこんなに必死に言い訳したいのかわからないけど、陽葵ちゃんには誤解してて欲しくなかったの」

「だから期待しちゃうから辞めてよ(笑)」

「期待してよ...」

「え...」


あたしは遥の顔を見た。

遥は今にも泣き出しそうだった。


「遥...?」

「教師と生徒だってわかってる...その前に同性だってことも.....でも自分でも自分がわからないの...この気持ちがなんなのか.....って私何言ってんだろ、ごめん、忘れて」

「駄目、忘れない」


あたしは遥の目を見て言った。


「あたしもこの気持ちがなんなのかわからない。気の迷いなのかも知れない。けど遥が誰かのものになるなんて考えられない。手を繋いで、抱きしめあって、キスをして...その先だって...誰かとしちゃうなんて考えられない」


あたしはハッキリ言ってしまった。


「遥と居るだけで、嬉しくて、悲しくて、切なくて...」

「私、教師失格だ(笑)こんなにも陽葵ちゃんをすきだなんて...」

「あたしもすきだよ」


あたし達は照れくさくなって笑った。
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