孤独だった君に、僕の全身全霊の愛を…
“早速、彼に見せてあげな!”

衣音に言われ、会社前にいる瑛茉。
しかし、既に帰ろうかと迷っていた。

突然、会いに行って嫌われないだろうか。
ウザくないだろうか。
それに真絋が同僚と一緒に出てきたりして、私がいたら迷惑にならないか。

でも、できることなら会いたい。

悶々と色んなことを考えていた。


しばらくすると退社時間になり、社員達が出てき始めた。

会社の方針で、残業はしないというのがあるためか、沢山の社員達がぞろぞろと出てくる。

そこに、秀晃が出てきた。

「━━━━あれ?瑛茉だ!」
「あ、秀晃くん!」

「どうした?
仕事日にしては、洒落こんでる(笑)
…………てことは、彼氏か!」

「あ、うん。
約束してるわけじゃないんだけど、会いたいなって……!」

「へぇー!」

「そうゆうのって、迷惑かな?」

「そんなことねぇだろ?
俺だったら、嬉しい!
……………あ!でもなぁ……」

「ん?」
意味深に考え込む秀晃に、瑛茉が首をかしげて見上げる。

そこに、真絋が出てきた。

「瑛茉!!?」

「え?あ、真絋!」
真絋に駆け寄る。

「何してるの?」
真絋とは思えない、低く重い声が出ていた。

「え……」
思わず、後ずさる瑛茉。

“嫌われた!?”
瑛茉は、慌てたように謝罪を繰り返した。

「ごめんなさい!
突然、会いに来たりして。
ごめんね!ごめんなさい!」

そして、逃げるように立ち去ろうとする。
その手を、秀晃が掴んだ。

「瑛茉!
何、帰ろうとしてんの!?
何の為に来たんだよ!?」

「え?で、でも……」

すると秀晃から奪うように、今度は真絋に手を掴まれ引き寄せられた。

「富根くん、瑛茉の手を離してよ」
秀晃を冷たい目で見て、淡々と言う。

そして秀晃は、フッ…と笑って手を離した。
それから「お疲れ」と言って、去っていった。

それを見届けて、息を吐いた真絋。

「瑛茉、帰ろ?」
いつものように瑛茉に微笑み、手を引いた。



「………」

「………」

「………」
しばらく無言で手を繋ぎ、二人。
だんだん瑛茉は、不安になってくる。

「真絋、ごめんね」
瑛茉が口を開く。

すると真絋が振り返り、切なく微笑んだ。
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