孤独だった君に、僕の全身全霊の愛を…
「僕は何もしてないよ。
ただ、瑛茉が好きなだけ。
瑛茉がどんどん垢抜けていってるだけ」

「瑛茉、ほんと綺麗になったもんなぁー」

「うん。
………………このままじゃ、遠くに行っちゃいそう……」

「…………瑛茉、ずーっと死んでた」
落ち込むように肩を落とす真絋を見据える、秀晃。

「え?」

「左目の傷痕のことで、色んな残酷な事があったからなぁー
見せ物みたいにされてさ。
俺は、大学ん時から瑛茉のこと知ってるんだが、大学でもそうだった。
まぁ、俺と衣音が傍にいたから大学ん時は何とかなってたが……
それにその時、他にも辛いことがあって。
会社に就職してからも一ヶ月も経たねぇのに、辞めるって言い出してよ!
俺が世話してやったのに“はぁ!??”って感じじゃん?
わけを聞いたら、かなり酷いこと言われたらしくて。
まぁ、すぐに一喝してやったが。
それからも更に目立たないように、片浜 瑛茉がこの世に存在してないみたいにするようになった。
そんな瑛茉が“私、頑張る”って言い出したんだ。
“死にたい”とか“もう疲れた”とかしか言わなかった瑛茉が“頑張る”って。
そしたら、隣に北三条がいた。
━━━━━━お前が“瑛茉を変えたんだ”
“真絋に相応しい女になりたい”って言ってた。
“そのための努力が、私の生きる糧だから”って!」

「瑛茉が?そんなことを……?」

「俺と衣音は、お前に感謝してる」

「え?」

「瑛茉に“命”を与えてくれたお前に!」



“瑛茉に、プロポーズしようと思ってる”

そのために、瑛茉の左手の薬指のサイズを知りたい。
秀晃に、衣音を通じてこっそり聞いてほしいと頼んだ真絋。

秀晃は、心好くOKしてくれた。


「━━━━━あ、会計は良いから!」
真絋がカードを出すと、秀晃が制してきた。

「は?どうして?」

「自分より金のない奴からは、奢られない」

「………」

「だから、必要ない」

「………富根くん、それダメだよ」

「は?」

「今日は“僕がご馳走する”って約束で、来たんでしょ?
なのに“奢られない”って意味わかんない。
そんなこと言ってたら、殆ど富根くんがご馳走してばっかじゃん!
富吉財閥の御曹司なんて、お金なんて沢山あるでしょ?」

「そうだな」

「衣音さんは?」

「は?」

「衣音さんは、その事何て言ってるの?」

「………」


「“おかしい”って言わない?」

今度は、真絋が秀晃を見据えていた。
< 25 / 62 >

この作品をシェア

pagetop