孤独だった君に、僕の全身全霊の愛を…
「まさに、その事で喧嘩した。
それで、瑛茉に話を聞いてもらってた」

「瑛茉、何て言ってた?」

「北三条と同じ。
“そんなのおかしい”ってさ」

「富根くん、言ってたじゃん!
容姿とか肩書きで、人は見るって。
それに囚われてるのは、富根くんじゃん!
御曹司だから何なの?
お金持ってるから何なの?
それって結局、相手をバカにしてるのと同じなんだよ?
それに“お金で繋がってる関係”みたいで、惨めだよ!
そりゃあお金がある分、富根くんがご馳走するのは多くなるのはしかたがないとは思う。
でもたまには、気持ちよくご馳走してもらうってことがあって良いと思う!
ちなみに僕と瑛茉は、いつも割り勘なんだよ。
それでも僕にも変なプライドがあって、少し僕が多めに出すけど。
きっと瑛茉も衣音さんも“その事を”言いたいんじゃない?」

真絋の言葉に、秀晃は少し瞳を潤ませ頷いた。

そして、微笑み言った。

「━━━━━ありがとな!ご馳走様!」


後日━━━━秀晃からの連絡で、指輪のサイズを聞いた真絋。
早速、ジュエリーショップに来ていた。

時間をかけて厳選をして、婚約指輪を購入した。


そして週末。
真絋と瑛茉は、基本的に平日は会えない。
瑛茉の仕事が夕方からだからだ。

なので、毎週土日に泊まりがけで会っている。

瑛茉をアパートに迎えに行くと、いつものように前で待っていた。

「瑛茉!おはよ!」
「おはよう!真絋」

「フフ…ギュッてしよ?」
両手を広げ言う、真絋。

「うん!」
抱きつくと、抱き締められた。

「よし!行こ?」
助手席のドアを開ける、真絋。

「うん!ありがと!」

車に乗り込み、真絋が「今日、どうしようか?」と言う。
いつもなら、真絋は一日の予定を考えてくる。
しかし今日は、気が気じゃない。

夕食の時にしようと思っているプロポーズのことで、頭がいっぱいだからだ。

「ん?
そうだなぁー
…………あ!そうだ!
これ、見て!」
スマホ画面を見せる、瑛茉。

「ん?水族館?」

「うん!ここね、餌やりが出来るんだよ!
大きな池もあって、鯉にも餌やりができるみたい!
どうかな?
魚、釣る方がいいかな?」

「………」

「真絋?」

スマホ画面を見たまま固まったようになっている、真絋。
瑛茉が顔を覗き込んだ。
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