孤独だった君に、僕の全身全霊の愛を…
「そうだったんだね」

「………って、こんなこと聞かさせてもって感じですよね?(笑)
本当に、貴方は悪くないので気にしないでください!」
微笑んで、仕事に取りかかろうとする瑛茉。

「北三条 真絋」

「え?」

「僕は、北三条 真絋っていうんだ。
片浜さんは、片浜何ちゃん?」

「え?え?」

「もっと、片浜さんのこと知りたいんだ。
だからこの前も、引き留めようとしたんだよ?
片浜さんと、もっと話がしたくて!」

「私と…ですか?」

「うん!」

どうしてそんなこと言うのだろう。
何か、魂胆でもあるのだろうか。

瑛茉は真絋の考えていることがわからず、ただ…見上げていた。

その日、少々強引に真絋と連絡先を交換した瑛茉。
しかも瑛茉が終わるまで真絋は待っていて、自宅アパートまで送ってくれたのだ。

「あの、わざわざありがとうございました」

「ううん!
今度、休みいつ?」

「え?土曜日ですけど…」

「じゃあ、土曜日!
デートしよ?
もっと、もっと、片浜さんのこと教えて?」

「………」

「片浜さん?」

「あの…聞いてもいいですか?」

「ん?」

「何か裏があるんですか?」

「え?」

「私のことを知りたいなんて、なんかおかしいです。
それともそんなに物珍しいですか?私の左目」

「………どう…して、そんなこと言うの?」
真絋は、声が震えていた。
瑛茉の口から、こんな苦しくて痛い言葉が出るなんて。

「前にも同じことを言われて、笑い者にされました」

「………昨日、同僚の人に聞いたよ」

「だから信じられません」

「………」

「ごめんなさい」

「………だったら、チャンスをちょうだい!」

「え?」

「土曜日!デートして?
それで判断してよ!」

「北三条さん…」

「ね?」


そして約束の土曜日。

【8時に迎えに行くね!】
真絋からのメッセージを受け、五分前にアパート前に出た。

少しして、車が近づいてきてゆっくり止まった。
運転席から真絋が出てきて、微笑み近づいてくる。

「おはよう!」
「おはようございます/////」

デートなんて、久しぶりだ。
しかも、真絋のようなイケメンと。
顔を赤くして、左側の前髪に触れながらはにかんだ。

「あ…可愛い…//////」

「え?」

「最初に会った時から思ってたんだ」

「え?そんな…冗談……」

「嘘なんか言わない」
真剣な眼差しで、真絋が瑛茉を見下ろしている。

「………」

「片浜さんは、可愛いよ?
もっと、自身を持って!」
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