孤独だった君に、僕の全身全霊の愛を…
真絋から再度“もうすぐ着くよ!”とメッセージが入り、今か今かと待っていると……

「瑛茉、何してるの?一人で、危ないよ?」
飲み会に参加していた友人・真奈(まな)が声をかけてきた。

「あ、旦那さん待ってるの。
真奈ちゃんこそ、まだ帰ってなかったんだ。
早く帰らないと!」

思わず、冷たい言い方をしてしまっていた。

他のみんなは帰ってしまったので、誰にも真絋を見られずに済むと安心していた瑛茉。
瑛茉の中の独占欲が、つい言葉になり出てしまっていた。

「旦那さん待ってるんだ?
ついでだから、紹介してよ!」

「え……」
(どうしよう…嫌だなんて、言えないし……
でもなんで、よりによって“真奈ちゃん”なのー?)

真奈とは、ちょっとした因縁があるのだ。


そんなことを考えていると「瑛茉!!」と真絋の呼ぶ声が響いてきた。

「あ、真絋!」
タタタッと駆けてきた、真絋。
嬉しそうに、瑛茉に微笑んだ。

「おかえり!」
「フフ…ただいま!
わざわざありがとう!」
微笑み合う、真絋と瑛茉。

真絋に会うと、安心して顔が緩んでしまう。

「こんばんは!」
そこに、真奈が割って入ってきた。

「え?えーと…
瑛茉、友達?」

「あ、うん。
真奈ちゃん。
大学の同期なの」

「へぇー、こんばんは。
瑛茉がお世話になってます」

「こちらこそ!
写真で見るよりもカッコいいね、瑛茉!」

「え?う、うん」
「じゃあ、僕達はこれで!
瑛茉、帰ろ?」
瑛茉に微笑んだ。
真絋に引っ張られながら、真奈に手を振った。


「━━━━楽しかった?飲み会」
「え?うん」

「そっか!」

「みんなに、ビックリされちゃった!
私が既婚者になったから」

「へぇー
ねぇ、瑛茉。聞いていい?」

「ん?」

「…………今日来てた中に、元彼いたの?」

「え?」

「大学二年まではいたんでしょ?」

「………」

「わかってるよ?
ガキみたいなこと、聞いてるって!
でも、不安なんだ……!」

「来てないよ」

「ほんとに?」

「うん。
てか、来てたらきっと…私は呼ばれてないと思う」

「え?そうなの?」

「うん。
良い別れ方じゃなかったから……
あ!でも!彼が悪い訳じゃないんだよ?
ただ、ちょっと……」

「そうなんだ……」

「理由、は…聞かないでね……
今はまだ、話せるだけの精神的余裕がないの…」
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