孤独だった君に、僕の全身全霊の愛を…
(デートって、どうやるんだっけ?)

助手席で、悶々と考える。

(てか、デートって交際中の二人がするものだよね?)

「━━━━━片浜さん?」

「………」
(え?北三条さんは、私が好きなの?)

「片浜さーん!」

「………」
(さすがにそれはないか!)
ブルブル頭を振る。

「聞いてる~?」

「………」
(こんなカッコいい人が、私なんかを……
あり得ない、あり得ない!)

「片浜さん!」

「………は、はい!」
気づくと、赤信号で止まり真絋が顔を覗き込んでいた。

「どうしたの?体調悪い?」

「あ////いえ!元気です!」

「そ?良かった!
片浜さんは、魚好き?」

「え?あ、はい。好きです」

「良かった!」

水族館にでも行くのだろうか?

(でも、まだ開いてないよね?
そこに行くまでに、距離があるのかな?)


そして連れて来られたのは、釣り堀だった。

「釣り?ですか?」
「うん!
ここはね。
純粋に、魚釣りを楽しむところなんだ!
だから釣った魚は、堀に返すんだよ」

「へぇー!」
「で!面白いのがね!
釣った魚の重さに応じて、そこに併設してる食事処の定食メニューが変わるんだ!
料金は、均一千円。
沢山釣れば、千円で和牛ステーキとか高級な刺身が食べれる!
まぁ、どの食事でも美味しいんだけどね!(笑)」

「面白そうですね!」
「でしょ?
フフ…片浜さんなら、そう言ってくれるって思ってた!
ほんとはね。
もっと、景色の綺麗な場所とか、高級なレストランとかの方が良かったんだろうけど……」

「え?」

「片浜さんに、僕のこと知ってほしいなって思って!
僕ね、両親の仕事が忙しくて、よく祖父のところにいたんだ。
じぃちゃんが、魚釣りが得意でさ。
よくここにも、連れて行ってもらってたんだ!
じぃちゃんとの思い出の場所なんだぁー
だから、片浜さんを連れてきたくて!」

懐かしそうに釣り堀を見つめる、真絋。

「ありがとうございます!」

「ん?」

「そんな素敵な思い出の場所に連れてきてくれて!」

「………/////
やっぱり、君を連れてきてよかった!」

微笑み見上げる瑛茉に、真絋は胸が高鳴るのを感じていた。
そして、この胸の高鳴りの正体を確信していた。

「え?」

「元カノも連れてきたことあるんだけど、あんま良い顔してくれなくて!
ほら、正直綺麗とは言えない場所でしょ?
古いし」

「そうなんですね…
それは、悲しいですね…
私は、好きな人の思い出の場所は共有したいです!」
瑛茉が微笑む。

「……/////」
真絋の心臓が、痛いくらいに高鳴る。

「北三条さん?」


顔を窺う瑛茉に、真絋は微笑み言った。

「片浜さん。
僕、片浜さんのこと好きみたい」と━━━━━━
< 5 / 62 >

この作品をシェア

pagetop