孤独だった君に、僕の全身全霊の愛を…
真紘「何!?」

「それはこっちのセリフ!
…………つか!“あの”威圧感半端ない真紘さんは、どこ行ったんすか~?」

真紘「………」
真紘は無言で、掴まれた腕を見ていた。

どうする?
ここでおもいきり振り払って行く?

いや、でも…
こいつ等のことだ。
絶対ついてくるに決まってる。

万が一、瑛茉の前でこんな風に声かけられたら、どう切り抜けたら良いかわからない。

瑛茉にだけは、知られないようにしないと……!


真紘は悶々と考えて、秀晃と時康に微笑んで言った。
真紘「僕ちょっと、彼等と話をしてくるから、先に行ってて!
大丈夫だよ、すぐに追いかけるから!」

しかしその真紘の笑顔は、いつもの柔らかく甘い、優しいモノではなかった。

時康は真紘から、焼きそばとたこ焼を受けとると“いいか?ほんとにすぐ戻ってこいよ”と耳打ちした。

真紘は頷き、男達を連れて人気のない茂みの中に向かっていった。


茂みの奥に着いた途端━━━━━━

「うおっ!!?」
先程腕を掴んだ男を、殴り付けた。

真紘「1分」

「え?」

真紘「1分で終わらせる。
纏めてかかっておいで?」

指を一本立て、真紘とは思えない恐ろしい雰囲気を纏って、微笑み言った。

「え……ちょっと待ってください!」
「俺達は、殺り合いたくて誘ったんじゃなくて!」

真紘「ほらもう、15秒経った。
来ないなら、こっちから行くね!」

そう言って、あっという間に男達を蹴散らした。
そして倒れている男達を見下ろし、睨み付けた真紘。

真紘「僕、スゴーい!全然身体鈍ってない!!
…………いい?
今後一切、僕やヤスを見かけても声をかけないで。
他人の振りしてよ。
お願いね!」

そう言って、去っていった。


「スゲー……」
「やっぱ、つえぇ…」

「これが“あの”北三条 真紘だ………!」

「なぁ、あのもう一人の男…どぉーかで見たことないか?」
「そうか?」

「思い出せそうなんだが……」
男が、頭を抱えるようにして思い出している。

「どっかのチームにいたとか?」

「いや」

「じゃあ、高校の同級にいた?」

「いや、違う」

「じゃあ…大学?」

「大学…大学!!!」

男がパッと頭を上げて、声を荒らげた。
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