孤独だった君に、僕の全身全霊の愛を…
過去
「━━━━綺麗~」

ある日の日中。
瑛茉は、仕事前にジュエリーショップに来ていた。

アクセサリーは苦手だったが、着飾りたいと思うようになったからだ。

沢山の種類のアクセサリーを見て回る。

「あ…このネックレス綺麗…/////」

「ほんと、綺麗だね!」

「━━━━━え!?」
突然声をかけられバッと見ると、男が瑛茉を見ていた。

「瑛茉ちゃんだよね?」

「え?」

「“片目の瑛茉ちゃん”」

「え……」
(その、呼び名……)

「可愛くなったね!」

「………」
瑛茉は、完全に固まっていた。


“片目の瑛茉”とは、瑛茉が大学の時に言われていた呼び名だ。

片浜 瑛茉といつも左目を隠してる姿をもじっただけの、子どもじみた呼び名。

しかし、瑛茉にとっては“地獄の言葉”その物だった。


「ねぇ、瑛茉ちゃんってさ。
北三条 真紘の嫁さんなんだよね?」

「え?」

「知ってる?
北三条 真紘が、本当はどんな人間か」

「え?
それって、どうゆう……」

「知りたくない?
北三条 真紘の本性」

「………」


その頃真紘は半休を取り、時康と共にある墓地にいた。
墓の前で、手を合わせる二人。

「もう…13年経つな……」
「そうだね…」

「………」
「……生きてたら…」

「ん?真紘?」

「もし…圭輔(けいすけ)が生きてたら……
今頃、どうなってたかな?」

「そうだなぁ。
圭輔は、本当の意味で“いい男”だったからなぁ」


越生(おごせ) 圭輔。

真紘と時康の親友だった男。
高校二年の時に、ある事件で亡くなった。

その圭輔が、この墓に眠っている。

容姿端麗で、賢く、器用。
物腰の柔らかい、まさにスパダリ。

圭輔こそ、本当のスパダリである。

今でこそ真紘はスパダリその物だが、高校の時は正反対の人間だった。

喧嘩に明け暮れる真紘と時康。
それを止める役が、圭輔だった。


そこに突然、真紘のスマホの着信音が鳴り響いた。

「━━━━ん?瑛茉だ!
━━━━もしもし?
━━━━━え……!!?」


真紘と時康は“病院”へ向かった。
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