孤独だった君に、僕の全身全霊の愛を…
「案の定返り討ちに遭って、僕……殺されそうになったんだ」

「………」

「そこに圭輔が駆けつけてきて……
…………圭輔は…僕の代わりに…僕、の…目の前で…殺されたんだ……」

「嘘……」
瑛茉は、息が止まったように固まっていた。

まさか、そんなことがあったなんて………

「あの時、僕が喧嘩を売りに行かなきゃこんなことにはならなかった。
圭輔は、何度も“やめておけ”って言ってたのに、僕は聞く耳を持たなかった。
それよりも負けたことが悔しくて、喧嘩を売ることしか考えてなかったんだ。
僕のせいなんだ。
僕のせいで、圭輔は死んだんだ……」

「………」

「圭輔の親にも“死神”って言われた。
“お前のせいで死んだ”って」

「真紘…」
瑛茉は、涙が溢れていた。

「しかも僕、それからも更に荒れて手当たり次第喧嘩ふっかけたりした。
目も据わって、いつも威圧感を出してた。
それで暴れて、傷つけて、暴れきったら……
いつの間にか、周りに誰もいなくなってた。
ヤスは優しいから、なんかほおっておけないって言って傍にいてくれたけどね…
━━━━━━………
━━━━━━軽蔑した?
…………軽蔑、するよね?普通」

「………」
瑛茉は、どう言ったらいいかわからなかった。
ただ、涙が溢れて止まらない。
苦しくて、悲しかった。

「このピアス……ヤスとお揃いなんだけど……
圭輔の誕生石なんだ。
もう二度と誰も失いたくなくてつけた、ピアス」
左耳のピアスに触れ言った、真紘。

「………」

「………」

「………」

「……真紘…」

「ごめんね。こんな僕が、瑛茉みたいな天使の旦那で……」

首を横に振る瑛茉。
涙でぐちゃぐちゃな、瑛茉の顔。

真紘が瑛茉の頬に触れた。

無意識にビクッと震え、怯えたように真紘を見上げる瑛茉。
「え………瑛茉…?」

瑛茉の無意識の反応に、真紘は静かに手を下ろした。
そして「ごめんね…」と呟いて、立ち上がり「ちょっと、出てくる」と言ってマンションを出ていった。

リビングに一人になった瑛茉。
涙は更に溢れ、声を上げて泣いた。


一方の真紘はとぼとぼと歩き、ある場所へ向かった。
街外れにある、丘の上の小さな公園だ。

真紘、時康、圭輔の思い出の場所だ。

ポツンとあるベンチに座る。

ボーッとしていると、不意に声が聞こえてきた。

高校生の真紘達、三人がいた━━━━━━
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