孤独だった君に、僕の全身全霊の愛を…
卑下
次の日、朝からまたデートの約束をした二人。

アパートを出て、真絋を待っていると昨日と同じようにゆっくり車が止まった。

「おはよう!“瑛茉”」
スマートに運転席を降り、微笑み近づいてくる真絋。

「おはようございます、ま、ま、真絋…/////」

「え?聞こえなーい!
もう一回呼んで?」

「ま、真絋」

「フフ…ありがとう!
帽子も、かぶって来てくれたんだね!」

「あ、はい…!
可愛いし、どんな服にも合うから!」

「可愛い!」

「あ、ありがとうございます/////」

「あ、あと!
敬語!なしって言ったよね?」


━━━━━━昨日の帰り、真絋から言われていた。

『片浜さんのこと“瑛茉”って呼んでいい?』

『え?あ、はい!もちろん』

『じゃあ、僕のことも“真絋”って呼んで?
あと、敬語もなしね!
もっと、近づきたい!』

『は、はい』

『ん?はい?』

『あ、うん』

『瑛茉』

『!!?』
名前を呼ばれただけで、ドキンと高鳴る。

『瑛茉も、呼んでみて?』

『……ひろ////』

『聞こえないよ?』

『……ま、真絋…////』

『フフ…可愛いなぁー、瑛茉って!』

『……/////』


「……………
うん…/////ごめんね/////」
昨日のことを思いだし、顔を赤くしていた。

「フフ…行こ?」

「うん」
助手席に乗り込む。
車が走り出した。

瑛茉は、運転席の真絋を盗み見た。
横顔がとても綺麗だ。

(私、こんな素敵な人とお付き合いしてるんだ!)
思わず、顔がにやけていた。

「ん?」

「え?」

「何?ジッと見てるでしょ?」

「あ、いや…ご、ごめんね!」

「答えになってないよ?」

「な、なんか夢みたいだなって思って…」

「ん?」

「こんな感覚も、体験も、本当に久しぶりだから。
真絋に、迷惑にならないようにしないとって!」

「迷惑…ね…」

「ん?真絋?」

「………ううん!
それよりも!もうすぐ着くよ!」


町外れの大きな公園。
駐車場に車を停め、降りる。

今日は、公園を散策して瑛茉の作った弁当を食べるというまったりとした日を過ごす。

昨日は真絋の好きな所に行ったので、今日は瑛茉の好きな所に行こうと言われたのだ。

さりげなく真絋が瑛茉の弁当の入ったバッグを取り、瑛茉の手を握った。

「え?真絋、荷物……」

「ん?瑛茉に持たせるわけないでしょ?
瑛茉は、僕と手を繋ぐの!」
そう言って更に手を握りしめた。
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