この熱に溺れてしまいたい。
お断りです
……ほんと、今日はなんだかついてなんなあ…。
そうため息をついた後で、ふと数時間前の出来事を思い出した。
……あのきれいな琥珀色の瞳の人に助けてもらえたから、ついてなくはない、かな。
本当に綺麗だった。吸い込まれそうで、惹き付けられて。
……カラコン、ではないよね。
生まれつきかな、と考えていたら、しゃがんでいた私の目の前にふっと影ができた。
「ーーだいじょーぶ?」
「っえ……」
考えていたひとが目の前にいたら、こんなにびっくりするんだって初めて知った。
ゆっくりと屈んでプリントを手に取る様子は、さっきの光景と全く同じ。
「本日二回目だね。ドジなの?」
「うう……。ドジじゃないです…」
“本日二回目”という言葉で覚えられていたことが分かって、なぜか嬉しく思っている自分がいた気がした。
「……あれ、その指」
「あ、これですか?さっきこの紙で切っちゃって」