この熱に溺れてしまいたい。



なんとなくこの人は年上な気がして、敬語は付けたまま。

傷はまだピリッと痛むけど、なんともないというようにへらりと笑っておく。



するといつの間にか彼との距離が近づいていて、不意に心臓が高鳴った。



「ーーゆび、見せて」



「…………へ、っひゃあ…!」



いきなり手を取られたかと思えば、今度は怪我して血が出ていたところをぺろ、と舐められる。


びっくりして思わず変な声が出てしまったけど、彼はゆっくりと口角を上げた。



「ちょ、なにすーー」


「かわいーね、」


「っ、」



そう耳元で囁かれた後、彼はもう一度傷口に口づけた。



「……っ、ぃ」



ぴり、とした痛みがどんどん引いていく。

だけどその代わりというように、彼に触れられている指はすごく熱くて。


心臓の鼓動もはやくなっていく。



「………あま」



ちゅ、と音をたてて離れた唇をぺろりと舐めた彼は不適な微笑みが満月に照らされていた。



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