この熱に溺れてしまいたい。


指先の痛みが引いたことにはっとして見ると、傷口が綺麗になくなっていた。



……うそ、なんで。


というか、それよりも。



「ちょ、いきなりなにするんですか……!」



ものすっごく気が動転している私は、とりあえず彼から距離をとった。


いきなり人のゆびをな、舐めるなんて……!


これぞ適切な距離。ぜったい。



「…んー、……美味しそうだったから?」



……なに言ってるんだこの人。大丈夫?


おいしそう?



「それに、怪我してたし」


「…あ、それは、ありがとうございます……」




何が起こったのかよく分からないけど、治してくれたのはたぶん彼だからお礼を言っておく。



「どーいたしまして」


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