この熱に溺れてしまいたい。



「~~っ、先輩、」


「なに?」


「はなして……」


「無理。……あ、それとも」



ーーこっちがいい?



と、ギラリと鋭く尖った八重歯を鎖骨に突き立てられる。



すーっとなぞられてしまえば、もうおしまい。



頭がぐるぐるとキャパオーバーで。

ショートしそう。




「……小夜ちゃん」


「ーーっ、もう無理……っ!」




真っ赤になった顔で限界だと叫ぶと、世界がふっと切り替わった。


< 42 / 59 >

この作品をシェア

pagetop