この熱に溺れてしまいたい。



「…………あ、」



犯人、発見。



現在、朝の登校時。玄関前にて犯人を発見しました。



……なんて冗談は置いておいて、



ーーぽそ



「…ぜんっぜん眠れなかった……」



あの夢のせいで。あの先輩のせいで。私の睡眠時間を奪った罪だよ…。



夢に出てきた先輩がずっと頭に焼き付いているからか、先輩を見ると妙に緊張する。



「……あ」



可愛らしい先輩……が笑顔で朔先輩に駆け寄っていく。


ちく、ちく、と小さく感じる痛みが、いつもよりも鮮明で。




「……っ、あれ、?」



今、私、なんて思った?


ううん、違う、そんなこと思ってない……はず。気のせいだよね絶対。



ずっと靴箱の前でつっ立っているせいで 、いろんな人にじろじろ見られるけど、そんなの気にならないくらい……焦ってる。


そんなこと、私に限って思うはずがない。



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