聖女さまがいっぱい!(聖女ショートショート集)
 神は下界を見ていてふと思った。

 よし、世界を浄化しよう、と。

 浄化は人間の力に任せてみようと考え、神はお告げを下した。

 * * *

 ある晴れた日のことだった。

 起きてすぐ自宅の庭に出た少女は、その爽やかさに思いっきり伸びをした。

 背中の筋肉も腕の筋肉も、全部の筋肉をのばす。伸びていくのが心地良い。

 伸ばすと同時に胸に深く深く息を吸う。朝の冷えた空気が肺いっぱいに満ちる。

 前日の雨はやみ、草木は色味を増している。花は鮮やかにみずみずしく、葉はより濃厚な緑を宿している。

 花弁や葉に残った水滴。朝日が雫に反射して、キラキラと輝いていた。

 なんか今日はいつもよりきれいな朝だなあ。呑気にそんなことを思っていたときだった。

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