クールな甘音くんが、私推しの読み専になりました。
第四話 私が、おかしい。
〇ある朝。1C教室。
甘音「……おはよ。……あれ? もしかして、お疲れ?」
カバンを何やらゴソゴソやり、エナドリを取り出して、爽やかにニッコリ。
甘音「……ハイ、これ。飲んで。寝不足にはバッチリ効くよ。……今日もがんばろ?」
文乃「 」
〇ある日の体育館。体育でバスケの授業中。体育館の半分、男子と女子を隔てるボールネット越しに。
甘音「……あ、柿坂。……ちょっとちょっと」
試合中にも関わらず、手招きする甘音。招かれるままに近づくと、おもむろに耳元で。
甘音「……昨日の最新話、最高だった」(ささやき)
男子「おい甘音ー、サボるなー!」
甘音「……」
軽やかにネットから離れた甘音が、歯を見せて笑い。
甘音「……じゃー」
甘音「……今晩も、楽しみにしてる(更新)」
そう言った次の瞬間、振り返って味方からパスを受ける。華麗なドリブルで相手を抜き去り、シュート、ゴール、男子も女子も、大喝采。
文乃「 」
〇とある放課後。1C教室。
甘音「……目、……充血してるね……」
急に顔を覗き込んだ甘音が、眉をハの字にして心配そうな表情で。
甘音「やっぱ俺、……目薬、入れよっか?」
文乃「 」
〇放課後。いつものカフェ。
文乃「あぁ―――――もぉ~~~~ッ!、頭おかしいよぉ――――ッッ!」
頭を抱えてジタバタする文乃。向かいの席ではりんが呆れた様子。
りん「なんというか、甘音くんがここまで女に入れ込む人だとはね……」
文乃「や、やめて! 全然そういうのじゃないって、何度言ったらわかるの!」
りん「またまた文乃さん……」
りんの反応に、文乃は急にげっそりとして。
文乃「……マリンちゃん……、ここ何日かで私、甘音くんに蒔かれた誤解の種を、何回拾って解いてきたか……わかる?」