クールな甘音くんが、私推しの読み専になりました。
第五話 甘音くんと。
〇回想:公園での別れ際。
甘音「あ」
文乃「……?」
甘音が拗ねたような顔をして、
甘音「……連絡先、知らない……」
文乃「……え……?」
甘音「俺、柿坂の連絡先、知らない」
文乃「……え、あ……、……そう……だね……」
顔を赤くして押し黙る文乃。その緊張を感じてか、若干かしこまった表情の甘音。
甘音「……じゃあ、よかったら」
「……交換、してくれる……?」
回想終了。
〇夜。それぞれの家の自室のベッドに寝転がり、スマホで通話する文乃とりん。
りん『キタ――――――――!!!!』
文乃「…………マリンちゃん、声がおおきいよ……」
りん『だってそれ、デートじゃん! デートのお誘いじゃん!!』
文乃「……そういうわけじゃ……」
りん『……でも、ライン交換したんでしょ!』
文乃「それは……そうだけど。でも、違うよ……」
枕に顔を突っ伏す文乃。りんはウンウンとうなずきながら、
りん『そーかそーか。甘音くん、思ってたよりもせっかちなタイプだなぁー。……で、どうすんの文乃?』
文乃「……どうって?」
りん『決まってるでしょ! もし告られたら、付き合うのかってこと!!』
文乃「こ、こ、こく!? そんなわけないじゃん!!」
りん『いや、ぶっちゃけもう、すでに六割くらいは好き確だからね、この状況!』
文乃「……そそ、そんなことないから!」
耳まで真っ赤になり、ブンブン頭を振って否定する文乃。りんは一層ニヤニヤして。
りん『……で、文乃はどうなの?』
文乃「え?」
りん『……甘音くんのこと、好きじゃないの?』
文乃「す、すす!? すすす!? ごほっ、ごほごほッ」
驚きのあまり文乃はむせ込んでしまう。
りん『あちゃー、これはあれだ。「考えたことない」的な壊れ方のパターン』
文乃「……マリンちゃん、ホント……いじわる……」
りん『あははー、ごめんー』
りん『……でもさ、文乃、改めて考えてみたら、どう?』
穏やかで、優しくりんが尋ねる。文乃は枕をギュッと抱きしめて。
文乃「…………」
文乃「……好き、じゃない、……と思う。…………まだ」
〇週末の午前。駅前でシンプルなワンピース姿の文乃が待っている。そこにリラックス感のあるセットアップを着た甘音が、周囲の視線を存分に受けながらやってくる。
甘音「……ごめん。柿坂よりも早く来ようと思ってたのに。先を越された……」
文乃「……わ、私が早く来すぎちゃっただけだからッ」
慌てる文乃に、甘音は改めて視線をやり。
甘音「……私服、可愛いね。柿坂のイメージによく合ってる」
文乃「……え……! ……あ、ありがと……う……」
真っ赤になる文乃に、甘音は穏やかな微笑みを向ける。
甘音「……今日は来てくれて、ホントに嬉しい」
文乃「…………」
甘音「……ありがとね、柿坂」
文乃(……マリンちゃん、ごめん。……ああは言ったけど、やっぱり。……今日一日中、こんなのがずっと続いたら……私……)
甘音「……柿坂?」
文乃「あ、ごめん。なんでもないです!」
甘音「じゃ、いこっか?」
歩き出す甘音に遅れないよう歩いてついていく文乃。
文乃「……あ、うん。……あの、どこへ?」
振り返った甘音が、快活な笑みで答える。
甘音「――家」
甘音「あ」
文乃「……?」
甘音が拗ねたような顔をして、
甘音「……連絡先、知らない……」
文乃「……え……?」
甘音「俺、柿坂の連絡先、知らない」
文乃「……え、あ……、……そう……だね……」
顔を赤くして押し黙る文乃。その緊張を感じてか、若干かしこまった表情の甘音。
甘音「……じゃあ、よかったら」
「……交換、してくれる……?」
回想終了。
〇夜。それぞれの家の自室のベッドに寝転がり、スマホで通話する文乃とりん。
りん『キタ――――――――!!!!』
文乃「…………マリンちゃん、声がおおきいよ……」
りん『だってそれ、デートじゃん! デートのお誘いじゃん!!』
文乃「……そういうわけじゃ……」
りん『……でも、ライン交換したんでしょ!』
文乃「それは……そうだけど。でも、違うよ……」
枕に顔を突っ伏す文乃。りんはウンウンとうなずきながら、
りん『そーかそーか。甘音くん、思ってたよりもせっかちなタイプだなぁー。……で、どうすんの文乃?』
文乃「……どうって?」
りん『決まってるでしょ! もし告られたら、付き合うのかってこと!!』
文乃「こ、こ、こく!? そんなわけないじゃん!!」
りん『いや、ぶっちゃけもう、すでに六割くらいは好き確だからね、この状況!』
文乃「……そそ、そんなことないから!」
耳まで真っ赤になり、ブンブン頭を振って否定する文乃。りんは一層ニヤニヤして。
りん『……で、文乃はどうなの?』
文乃「え?」
りん『……甘音くんのこと、好きじゃないの?』
文乃「す、すす!? すすす!? ごほっ、ごほごほッ」
驚きのあまり文乃はむせ込んでしまう。
りん『あちゃー、これはあれだ。「考えたことない」的な壊れ方のパターン』
文乃「……マリンちゃん、ホント……いじわる……」
りん『あははー、ごめんー』
りん『……でもさ、文乃、改めて考えてみたら、どう?』
穏やかで、優しくりんが尋ねる。文乃は枕をギュッと抱きしめて。
文乃「…………」
文乃「……好き、じゃない、……と思う。…………まだ」
〇週末の午前。駅前でシンプルなワンピース姿の文乃が待っている。そこにリラックス感のあるセットアップを着た甘音が、周囲の視線を存分に受けながらやってくる。
甘音「……ごめん。柿坂よりも早く来ようと思ってたのに。先を越された……」
文乃「……わ、私が早く来すぎちゃっただけだからッ」
慌てる文乃に、甘音は改めて視線をやり。
甘音「……私服、可愛いね。柿坂のイメージによく合ってる」
文乃「……え……! ……あ、ありがと……う……」
真っ赤になる文乃に、甘音は穏やかな微笑みを向ける。
甘音「……今日は来てくれて、ホントに嬉しい」
文乃「…………」
甘音「……ありがとね、柿坂」
文乃(……マリンちゃん、ごめん。……ああは言ったけど、やっぱり。……今日一日中、こんなのがずっと続いたら……私……)
甘音「……柿坂?」
文乃「あ、ごめん。なんでもないです!」
甘音「じゃ、いこっか?」
歩き出す甘音に遅れないよう歩いてついていく文乃。
文乃「……あ、うん。……あの、どこへ?」
振り返った甘音が、快活な笑みで答える。
甘音「――家」