一途な御曹司の甘い溺愛~クズ男製造機なのでお付き合いできません!~
「そうだったんですか……。それじゃあ、私たちの関係って……」
「もちろん、結婚を前提に交際している恋人だよ。今まで回りくどいことを言って誤解させたのは、本当に悪かった。許してほしい」
深く頭を下げられ、慌てて紗英は悠司の腕に手をかける。
「謝らないでください。悠司さんを好きになるほど、かりそめの関係にすごく悩みましたけど、でもそれも私の気持ちを考えてのことだったんですね」
浮気されたばかりの紗英は、ひどく傷ついていた。あのときに悠司から「付き合ってほしい」と告白されても、やはり断っていたと思う。もう恋なんてしたくないと、嘆いていたのだから。
その傷心を癒やしてくれたのは、悠司の優しさにほかならない。
彼がこれまでにくれた「好きだ」や「結婚したいな」という言葉は冗談ではなく、彼の本音が零れたものだったのだ。
それを知った紗英の胸に温かいものが溢れる。
彼となら、未来を築いていけるという希望が持てた。
悠司はスラックスのポケットから、臙脂色の小箱を取り出した。
小箱の蓋を開けて、中身が紗英に見えるように差し出す。
「これは……」
そこには大粒のダイヤモンドの指輪が鎮座していた。
こんなに素晴らしい輝きを、紗英は生まれて初めて目にした。
驚いて悠司の顔を見上げる。彼は真摯な表情を浮かべ、緊張に包まれている。
「プロポーズの返事を聞かせてほしい。俺は懸命に仕事をこなすきみを見ていて、すっかり好きになっていた。付き合っている間も、きみと一緒に過ごすうちに、自然体でいられることがとても安心できた。俺と、ずっと一緒に暮らさないか?」
悠司と、ずっと一緒にいられる。
それは紗英が望んでも得られないと、一時は諦めたことだった。
だけど、悠司も紗英とともにいることを望んでくれるのだ。
感激した紗英は涙を流しながら、何度も頷いた。
「私と、結婚してください……」
「ありがとう。もう離さないよ」
台座から指輪を摘んだ悠司は、紗英の左手の薬指にダイヤモンドのリングをはめる。
極上の煌めきが、永遠の愛を約束してくれた。
紗英の頬に流れる雫を、悠司は指先でそっと拭う。そして彼は、涙の痕に優しいキスをした。
紗英の胸は多幸感でいっぱいになった。
悲しい過去もあったけれど、悠司のおかげで今の幸せに辿り着けたのだとわかる。
人は変わらないかもしれない。
けれど、過去は乗り越えられるのだと、紗英は知った。
そのままマンションに泊まることになり、ふたりは冷蔵庫にあったものを調理して夕食にした。
焼き豚を炙ったものと冷や奴という簡単なおかずに、白米のごはんだ。もちろんスープは悠司特製の、ほうれん草とふわふわ卵のコンソメ味である。
生姜をつけた冷や奴に醤油をかけ、箸で割っていた悠司は、美味しそうにスープを飲む紗英に聞いた。
「たいした食材がなくてごめんな。ピザでも取ったほうがよかったか?」
「ううん。急にお邪魔したし……それに悠司さんと料理するの、楽しいです」
あり合わせのもので、いろいろと作るのは胸がわくわくする。
それも悠司と和気藹々と会話をしながらだから、楽しめるのだと思う。
悠司の好きなところは優しいところや、自立しているところなどたくさんあるけれど、そのひとつに、料理を一緒に楽しく作れることがあった。
愛しそうに目を細めて紗英を見た悠司は、微笑みを浮かべる。
「俺もだよ。紗英と料理してると楽しめるんだ。一緒にいると落ち着くし、なんでもない会話をしているのも心が穏やかになる」
「私もです。不思議ですよね」
「それだけ相性がいいってことだろ。体の相性もいいしな」
かぁっと、紗英の頬が朱を刷いたように赤くなる。
思わず箸を取り落としそうになってしまった。
「も、もう、悠司さんたら。なにを言い出すんですか」
「今夜、抱きたいな。いいか?」
赤い顔をうつむかせた紗英は、こくりと頷いた。
紗英としても、悠司にプロポーズされたこの日に抱かれたかったから。
食事を終えて後片付けを済ませると、悠司は以前お泊まりしたときと同じように、ふたり分のバスローブとバスタオルをキャビネットから取り出す。
「この間の泊まりで紗英が使った化粧水とか、一泊分がセットになってるパッケージはもう買ってあるから」
「えっ、用意してあるんですか?」
「うん。また泊まるときに必要だろうと思ってね」
洗面所に見に行くと、なんとお泊まりセットのパッケージが三つ、棚に用意してあった。悠司が急なお泊まりを想定して、コンビニから買っておいてくれたのだ。
今度から化粧水のボトルを持ってこようと、紗英は思った。
「もちろん、結婚を前提に交際している恋人だよ。今まで回りくどいことを言って誤解させたのは、本当に悪かった。許してほしい」
深く頭を下げられ、慌てて紗英は悠司の腕に手をかける。
「謝らないでください。悠司さんを好きになるほど、かりそめの関係にすごく悩みましたけど、でもそれも私の気持ちを考えてのことだったんですね」
浮気されたばかりの紗英は、ひどく傷ついていた。あのときに悠司から「付き合ってほしい」と告白されても、やはり断っていたと思う。もう恋なんてしたくないと、嘆いていたのだから。
その傷心を癒やしてくれたのは、悠司の優しさにほかならない。
彼がこれまでにくれた「好きだ」や「結婚したいな」という言葉は冗談ではなく、彼の本音が零れたものだったのだ。
それを知った紗英の胸に温かいものが溢れる。
彼となら、未来を築いていけるという希望が持てた。
悠司はスラックスのポケットから、臙脂色の小箱を取り出した。
小箱の蓋を開けて、中身が紗英に見えるように差し出す。
「これは……」
そこには大粒のダイヤモンドの指輪が鎮座していた。
こんなに素晴らしい輝きを、紗英は生まれて初めて目にした。
驚いて悠司の顔を見上げる。彼は真摯な表情を浮かべ、緊張に包まれている。
「プロポーズの返事を聞かせてほしい。俺は懸命に仕事をこなすきみを見ていて、すっかり好きになっていた。付き合っている間も、きみと一緒に過ごすうちに、自然体でいられることがとても安心できた。俺と、ずっと一緒に暮らさないか?」
悠司と、ずっと一緒にいられる。
それは紗英が望んでも得られないと、一時は諦めたことだった。
だけど、悠司も紗英とともにいることを望んでくれるのだ。
感激した紗英は涙を流しながら、何度も頷いた。
「私と、結婚してください……」
「ありがとう。もう離さないよ」
台座から指輪を摘んだ悠司は、紗英の左手の薬指にダイヤモンドのリングをはめる。
極上の煌めきが、永遠の愛を約束してくれた。
紗英の頬に流れる雫を、悠司は指先でそっと拭う。そして彼は、涙の痕に優しいキスをした。
紗英の胸は多幸感でいっぱいになった。
悲しい過去もあったけれど、悠司のおかげで今の幸せに辿り着けたのだとわかる。
人は変わらないかもしれない。
けれど、過去は乗り越えられるのだと、紗英は知った。
そのままマンションに泊まることになり、ふたりは冷蔵庫にあったものを調理して夕食にした。
焼き豚を炙ったものと冷や奴という簡単なおかずに、白米のごはんだ。もちろんスープは悠司特製の、ほうれん草とふわふわ卵のコンソメ味である。
生姜をつけた冷や奴に醤油をかけ、箸で割っていた悠司は、美味しそうにスープを飲む紗英に聞いた。
「たいした食材がなくてごめんな。ピザでも取ったほうがよかったか?」
「ううん。急にお邪魔したし……それに悠司さんと料理するの、楽しいです」
あり合わせのもので、いろいろと作るのは胸がわくわくする。
それも悠司と和気藹々と会話をしながらだから、楽しめるのだと思う。
悠司の好きなところは優しいところや、自立しているところなどたくさんあるけれど、そのひとつに、料理を一緒に楽しく作れることがあった。
愛しそうに目を細めて紗英を見た悠司は、微笑みを浮かべる。
「俺もだよ。紗英と料理してると楽しめるんだ。一緒にいると落ち着くし、なんでもない会話をしているのも心が穏やかになる」
「私もです。不思議ですよね」
「それだけ相性がいいってことだろ。体の相性もいいしな」
かぁっと、紗英の頬が朱を刷いたように赤くなる。
思わず箸を取り落としそうになってしまった。
「も、もう、悠司さんたら。なにを言い出すんですか」
「今夜、抱きたいな。いいか?」
赤い顔をうつむかせた紗英は、こくりと頷いた。
紗英としても、悠司にプロポーズされたこの日に抱かれたかったから。
食事を終えて後片付けを済ませると、悠司は以前お泊まりしたときと同じように、ふたり分のバスローブとバスタオルをキャビネットから取り出す。
「この間の泊まりで紗英が使った化粧水とか、一泊分がセットになってるパッケージはもう買ってあるから」
「えっ、用意してあるんですか?」
「うん。また泊まるときに必要だろうと思ってね」
洗面所に見に行くと、なんとお泊まりセットのパッケージが三つ、棚に用意してあった。悠司が急なお泊まりを想定して、コンビニから買っておいてくれたのだ。
今度から化粧水のボトルを持ってこようと、紗英は思った。