鬼上司に恋しました〜本当の、恋を教えてくれたのはあなたです
大抵、今までの男なら、私を酔わせてお持ち帰りのパターン。なのにだ、この男、隣に私がいるのに、山崎さんと楽しく会話している如月さんばかり気にして、チラチラと見ている。
腹立つなぁ…
お酒も入っているせいで、イライラの矛先は如月さんへ向い、嫌味を言っても気が収まらない。
主任の熱い視線は、如月さんしか見ていないのだ。
靡かないなら、お酒に弱いっていう主任を潰してお持ち帰りしてやろうじゃない。
そう思って、ジャンジャンとお酒を注いでいくが、なかなか潰れてくれず、こちらの方が辛くなって目を閉じて横になった。
何が、弱いだ…結構飲んだよ。
「あーマジ、勘弁して。キツー。どこが弱いんだ⁈結構、飲んだぞ。お前、小野田さんとじゃれてないで助けろよ」
私の心の声と同時に、主任と声が被る。
うわっ、こっちが素か…会社では、穏和なふりをしていただけのようで、普段はこんな感じで喋るのかと新たな一面を知る。
「邪魔しちゃいけないと思って」
様子を伺う為と起きるのも面倒なので目を閉じていたら、お酒の席ということもあるのか高木さんは、揶揄い口調で私の真似をしだす。
そこへ、主任が高木さんへ何か投げつけたらしくぼすっと当たる音がする。
「先輩、ひどい。小野田さん、見てた?後輩いじめ。俺、悲しい」
私の口真似を続ける高木さんにイラつくが、寝たふりをしている為、閉じた目をぎゅっと力を入れ我慢した。一瞬の沈黙の後、みんなで楽しそうに笑う声が聞こえ私を笑いのネタにした高木さんにムカムカとしていた。