『義理の弟クンがやって来た!』
第2話 海外転勤!? びっくりどっきり☆弟くんと二人だけで暮らすことになりました。
「果歩。おはよ」
「一樹《いつき》くん、おはよ」
わたしと一樹くんは義理の姉弟です。
高校生になったわたしと、中学3年生になったばかりの一樹くん。
去年、一緒に暮らしだした。
パパが一樹くんのお母さんと再婚したからだ。
亡くなったママをいつまでも好きなパパがやっと見つけた恋人。
上手くいったのだもの。
応援したいから、わたしは再婚に反対はしなかったの。
わたしを産んで育ててくれたママ以外の人を「ママ」とか「お母さん」とはまだ呼べない。
気恥ずかしさと、天国のママへの申し訳無さがあって、わたしは一樹くんのお母さんを「橙子《とうこ》」さんって呼んでいます。
橙子さんも「無理して私をお母さんとか呼ばなくっても良いのよ」って言ってくれてるし。
パパの突然の再婚宣言と同居に、ごねるほどの子供らしさも無かったわたし……。
っていうか、その時のわたしは受験生だったので、そっちがメインに必死だった。
橙子さんはパパと同じ会社で働く事務員さんで、たまに会社の家族も参加するバーベキューとかで見かけていたの。
綺麗な人だって思った。
それに優しくって、親の会社の集まりのバーベキューとか旅行でつまらなさそうにしている子供がいると、よく一緒に遊んであげてたんだよね。
そういう時は一樹くんも、にこにこサッカーとかやってたから、もっとおしゃべりしたり仲良くなれそうだなって思ったんだけどな。
それから一樹くんと橙子さんとはパパとわたしとでお食事に行ったりと何回かは会ったことがあったけれど。
一樹くんの母親の橙子さんは明るくって、わたしともよくお喋りする。
楽しい人だな、橙子さんって。
だけど、一樹くんとは……、ほぼ、会話っていう会話をしてこなかった。
うーん、女子が苦手なのかな?
一樹くんっていつでもムスッとしているし。
わたしね、一樹くんのこと最初は苦手だったんだけど。
でも、わたしとパパと橙子さんと一樹くんは、新しい家族になった。
同じ家で住むようになって、距離がちぢまってきたかも。
ちょっとずつ、ちょっとず〜つ、仲良くなってきたの。
今では一樹くんはわたしを「果歩」って呼んでくれるし、わたしも彼を「一樹くん」って呼んでるんだ。
ところが、パパと橙子さんが海外転勤することになった。
私、初めて泣きながらパパに嫌だって言ったの。
だって、せっかく受験して入った高校で、友達が出来たのに。
海外で新しい学校に通うなんてすっごく不安で。
一人暮らしをするって必死で一生懸命にパパと橙子さんに訴えた。
「私、今の学校やめたくない」
「俺も日本に残ります」
――えっ?
一樹くんってば、なに言ってるの?
「俺も受験生なんで。こんなん言ったら生意気かもしんないけど、二人の再婚には反対しなかったんだから、こっちの学校に通いたい果歩のことも、ここで受験するって決めてる俺の意思も尊重して欲しい。俺、二人の再婚のためにこの間転校したばっかりなんですよ? 今時期の中学校って正直けっこう馴染むのに大変でした。俺は余所者扱いだし、中学って受験を控えてナーバスな奴とか反抗期な人間ばっかりなとこなんで。……それに果歩だって不安だろ。俺は、悠人さんが母さんと俺を受け入れて家族になってくれただけで感謝してますが、再婚で浮かれてないで、子供の気持ちも考えてください」
一樹くんは普段無口なのに、この時はたくさん喋って。
わたしの気持ちも理解しようとしてくれてる。
キリッとした表情にちょっとどきっとした。
一樹くんが正論で筋道を立てて、びしっとパパと橙子さんに説得してくれた。
そこから数日家族会議を重ねました。
そして――。
この度、なんと。
びっくりどっきり、弟くんと二人だけで暮らすことになっちゃったの。
一樹くんとわたしとの、パパと橙子さんが日本に帰ってくるまでの期間限定で、二人暮らしがはじまりました。
「一樹《いつき》くん、おはよ」
わたしと一樹くんは義理の姉弟です。
高校生になったわたしと、中学3年生になったばかりの一樹くん。
去年、一緒に暮らしだした。
パパが一樹くんのお母さんと再婚したからだ。
亡くなったママをいつまでも好きなパパがやっと見つけた恋人。
上手くいったのだもの。
応援したいから、わたしは再婚に反対はしなかったの。
わたしを産んで育ててくれたママ以外の人を「ママ」とか「お母さん」とはまだ呼べない。
気恥ずかしさと、天国のママへの申し訳無さがあって、わたしは一樹くんのお母さんを「橙子《とうこ》」さんって呼んでいます。
橙子さんも「無理して私をお母さんとか呼ばなくっても良いのよ」って言ってくれてるし。
パパの突然の再婚宣言と同居に、ごねるほどの子供らしさも無かったわたし……。
っていうか、その時のわたしは受験生だったので、そっちがメインに必死だった。
橙子さんはパパと同じ会社で働く事務員さんで、たまに会社の家族も参加するバーベキューとかで見かけていたの。
綺麗な人だって思った。
それに優しくって、親の会社の集まりのバーベキューとか旅行でつまらなさそうにしている子供がいると、よく一緒に遊んであげてたんだよね。
そういう時は一樹くんも、にこにこサッカーとかやってたから、もっとおしゃべりしたり仲良くなれそうだなって思ったんだけどな。
それから一樹くんと橙子さんとはパパとわたしとでお食事に行ったりと何回かは会ったことがあったけれど。
一樹くんの母親の橙子さんは明るくって、わたしともよくお喋りする。
楽しい人だな、橙子さんって。
だけど、一樹くんとは……、ほぼ、会話っていう会話をしてこなかった。
うーん、女子が苦手なのかな?
一樹くんっていつでもムスッとしているし。
わたしね、一樹くんのこと最初は苦手だったんだけど。
でも、わたしとパパと橙子さんと一樹くんは、新しい家族になった。
同じ家で住むようになって、距離がちぢまってきたかも。
ちょっとずつ、ちょっとず〜つ、仲良くなってきたの。
今では一樹くんはわたしを「果歩」って呼んでくれるし、わたしも彼を「一樹くん」って呼んでるんだ。
ところが、パパと橙子さんが海外転勤することになった。
私、初めて泣きながらパパに嫌だって言ったの。
だって、せっかく受験して入った高校で、友達が出来たのに。
海外で新しい学校に通うなんてすっごく不安で。
一人暮らしをするって必死で一生懸命にパパと橙子さんに訴えた。
「私、今の学校やめたくない」
「俺も日本に残ります」
――えっ?
一樹くんってば、なに言ってるの?
「俺も受験生なんで。こんなん言ったら生意気かもしんないけど、二人の再婚には反対しなかったんだから、こっちの学校に通いたい果歩のことも、ここで受験するって決めてる俺の意思も尊重して欲しい。俺、二人の再婚のためにこの間転校したばっかりなんですよ? 今時期の中学校って正直けっこう馴染むのに大変でした。俺は余所者扱いだし、中学って受験を控えてナーバスな奴とか反抗期な人間ばっかりなとこなんで。……それに果歩だって不安だろ。俺は、悠人さんが母さんと俺を受け入れて家族になってくれただけで感謝してますが、再婚で浮かれてないで、子供の気持ちも考えてください」
一樹くんは普段無口なのに、この時はたくさん喋って。
わたしの気持ちも理解しようとしてくれてる。
キリッとした表情にちょっとどきっとした。
一樹くんが正論で筋道を立てて、びしっとパパと橙子さんに説得してくれた。
そこから数日家族会議を重ねました。
そして――。
この度、なんと。
びっくりどっきり、弟くんと二人だけで暮らすことになっちゃったの。
一樹くんとわたしとの、パパと橙子さんが日本に帰ってくるまでの期間限定で、二人暮らしがはじまりました。