千秋先生は極甘彼氏。
エピローグ
梅雨が明け、透き通った空がビルの向こう側で青々と広がる頃。
季節は夏。そして、私は明日、誕生日を迎える。
あの日を機に私たちは同棲を始めた。
朝起きて寝ぼけ眼のまま「おはよう」と微笑んで、夜はいつも抱きあって「おやすみ」と目を閉じる。
柾哉さんを愛おしく思う気持ちは日に日に増し、とても些細なことでも幸せに感じた。
休みの日はこれまで通り、どこかに出かけたり、家でまったりしたり。すべて柾哉さんに合わせるわけでもなく、柾哉さんも私に合わせるわけでもない。
もっとべったりになるかな、なんて思っていたけど、毎日会えないからこそ同棲していない時の方がくっついていた気がする。
柾哉さんの家にはあれから一度遊びに行った。ファイルを返してもらいに、というのが正しい。あとはアルバムの続きを見せてもらった。
お義父さんからは改めて謝罪を受けた。そして柾哉さんの未来にも理解を示してくれた。あまり長く話はできなかったけど、芳佳さんから「柾哉の仕事には興味を示したみたい」といい傾向であることも伺った。
それに私が作ったファイルの中をすべてコピーして自分用に作り直していたことも知っている。それは芳佳さんを通じて由紀子さんから連絡があり、許可した。これは柾哉さんは知らないこと。きっと彼は恥ずかしいだろうし、お義父さんも柾哉さんに知られたくないだろうと思ったから秘密にしている。