千秋先生は極甘彼氏。
楽しい時間はあっという間だ。
食事の後はソファーで映画を見ながらキスしたり戯れあったりしているうちにいつの間にか押し倒されて散々可愛がられてしまった。
次の日仕事に行けなかったら悪いから、と柾哉さんは私を構い倒すだけ構い倒すと自分のことは後回し。それはそれで私がもやもやしていると「金曜の夜から泊まりに来てくれればいいよ」とお願いされた。
「鍵渡しても果穂は遠慮しそうだし」
「ば、バレた?」
「わかるよ。基本真面目だから。時々大胆になるけど人の家に勝手に入ってこないでしょ?」
「…うん。実はそういうのはちょっとできない…」
いくら「いいよ」と言われても「本当にいいのかな?」って不安になる。
だってまだ付き合って二週間だし。
「だと思った。金曜仕事終わったらここで待ってて。家の住所後でラインするから。パジャマとか置いとくなら置いといていいよ。歯ブラシとかも」
「…はいっ」
「20時には仕事が終わるから多分果穂が家にくるぐらいに帰って来れると思う」
帰りたくなくて落ち込んでいたけれど、また週末に会えると思えば気分が浮上した。
「なんなら毎週末家に来ればいいよ」
「ほんと?」
「うん。その代わり仕事で家を空ける日もあるけど夜は必ず帰ってくるから。待ってて」
「…はい、待ってます」
「よし。いい子だ」
柾哉さんに頭を撫でられてチュッとキスが落ちてきた。
嬉しくて頬が緩む。
次会える予定があるだけでこんなに心が晴れるんだ、と思ったけど。
(…寂しい)
それでも自宅に戻ればやっぱり寂しくて、変なことを考える前にお風呂に入ってベッドに入った。
柾哉さんの匂いに包まれて眠った夜も安心感はあったけど、やっぱり自分のベッドに潜れば緊張がプツンと切れたように泥のように眠って翌朝遅刻しそうになって慌てて飛び起きる羽目になったのは秘密にしておこう。