BLUE ROSE ー今夜、私を攫ってー

そして嵐はソファからおり、私に背を向けて立つ。


「はあ……っ……」


目元が濡れて、頬には涙が流れていた。

自分が泣いていたのだと知って、慌てて拭う。


今、嵐はどんなカオをしてるの?


軽い女だって軽蔑した?



──ガラガラッ!


そのとき、勢いよくドアが開いた。


「おいっ! 凌士から聞いたけど……って、うぇぇっ!?」


騒々しい声で入って来たその主は、入り口でその勢いを止めた。


私は体をくるっと反転させて、入り口から見えないように顔を隠す。

こんなところ見られたら誤解される。


「これって、どーゆー状況……」


けれど、声に聞き覚えがあってゆっくり振り返れば。


足元に飛ばされていた私のリボンを拾い上げていたのは、希璃人だった。

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