BLUE ROSE ー今夜、私を攫ってー
彼は入学式で新入生代表の挨拶を務めたほど優秀で。
モデルのようなルックスに、人当たりの良い性格……とくれば女子の視線を一身に浴びるのは必至。
黒縁メガネの奥の瞳からは、いつも優しそうな眼差しが注がれている。
元々色素が薄いのか、痛み知らずの茶色い髪の毛が陽に照らされてキラリと光った。
「うんっ、実はね、今日普通科の──」
「まーみー」
おしゃべりな麻美に声を被せてをジトッと見ると、ごめんっという風に両手を合わせてくる。
合コンに行くなんてこと、出来れば人に知られたくない。
「なになに、気になるなあ」
それでも、彼の柔らかい笑顔を向けられれば、またふにゃりと破顔する麻美。
「放課後、妃翠ちゃんと遊びに行けることになったんだ! 遊ぶの初めてなの!」