BLUE ROSE ー今夜、私を攫ってー
『分かったーじゃあ教室でね!』
再び麻美の元気な声が聞こえたところで、私はゆっくり通話ボタンを切った。
「と、いうことなので、私は帰ります……」
結局、私は何をしに来たのだろう……。
逃げるようにすごすごとドアに向かった私に嵐の声が飛ぶ。
「待て」
「……っ」
もしかして、ただじゃ帰してもらえないのかとドキリとした私に。
「さっきあんな目に遭ってまだわかんねえのか。ここから一人で出て、無事に戻れると思うなよ」
……そうだった。
本当、危機感のない私。
「希璃人、たのむ」
「おう、嵐じゃ目立つもんな」
私を希璃人に託した嵐は、ソファから立ち上がることもせず、すぐにスマホに目を落とした。
私になんて興味などないように。
「お邪魔しました……っ」
私は逃げるようにして、この教室を出た。