BLUE ROSE ー今夜、私を攫ってー

麻美が大城くんを好きだったとは……全く気付かなかった。


確かに、ヒントはたくさんあったと思う。

大城くんと会話しているとき、すごくはしゃいでいたとか、可愛かったとか。


「いつから大城くんのことが?」

「えーっと、1学期の頃は、しゃべってて楽しい人だなーって思うくらいだったんだけど、夏休みに入ったら会えなくて寂しいなあって思って、えへっ」


照れながら伝えるその姿だけでもう可愛い。


「夏休みが開けて大城くんに会ったら、すごく嬉しくて……目が合ったら、胸がどきどきしちゃって……話せたら、もう舞い上がっちゃって……」


顔の前にグーにした手を添えながら、一生懸命伝えてくれる。

それだけで、どれだけ大城くんのことが好きなのかが伝わってきた。


「そしてなにより」

「なにより?」

「……かっこいい」


ほうっとため息のような声を吐いて、うっとりした表情を見せた。

まるで、目の前に大城くんがいるかのように。


可愛い。
素直にそう思った。

そして、その恋を全力で応援してあげたい、とも。
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