BLUE ROSE ー今夜、私を攫ってー
周りを見てもそんなことしてる人は誰もおらず、みんな手拍子したりタンバリンを振ったりノリノリだ。
カラオケってこういうところ……?
浮かれっぱなしの男子たちを前に、私だけが場に馴染めていない気がした。
「ほら、妃翠ちゃんもこれ持って!」
麻美にタンバリンを渡されて振ってみるけど、何が楽しいのかわからない。
やっぱり私の感覚がおかしいのだろうか。
こういう場所は私には合わない。
早くも帰りたくなってきた。
柳田の車は、店の近くに待機しているらしい。
2時間後には車に戻ると約束し、店には入らないようお願いした。
強面の黒服が出入り口でうろうろしてたんじゃ、迷惑に決まってる。