BLUE ROSE ー今夜、私を攫ってー
「じゃあ、私はどうして誘拐されたの……」
「んー、まあそれはとあるジジョーで」
「事、情……。それって、どんな……」
「言えないかな」
流れるような会話のくせに、肝心なところはさらりと隠して。
何か口を割るのではと思った私の期待はあっけなく散る。
「さすがに人質にはベラベラ喋らないでしょ」
「……」
「まあまあいいから、これ食えって」
口を噤んだ私に取りなすように言って。
赤髪の男は、ビニールから取り出したものをレンジへ持っていく。
「熱めがいい?」
私に聞かれてるのだろうけど、思考が追い付かず、
「普通でいいな」
聞いてきたくせに返事を待たない彼は、スタートボタンを押した。