BLUE ROSE ー今夜、私を攫ってー
-1- 日常
──私には、夢がある。
だけどそれは、決して叶わないこと──
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「妃翠ちゃん、今日だいじょぶそ?」
慶南高校特進科、2年1組。
教室に入るなり飛びつくようにして尋ねてきた彼女に、私はうなずいた。
「やったーーーー! 嬉しいっ」
今度こそ本当に飛びついてきたのは、野々村麻美。
私にとって、唯一友人と言える子。
小動物のようにふわふわしていて、同性の私から見ても守ってあげたくなるような可愛さ。
少しミーハーなところもあるけれど、女子特有の裏表などない明るい性格で、一緒にいてとても癒される。
「うん、私も嬉しい」