BLUE ROSE ー今夜、私を攫ってー

「なんだよ」


その声を拾ったのは凌士で、ブレーキを踏んだ。


「あ、やっぱいい……です」


バックミラー越しに目が合って首をふり、再びシートに背をつけたけれど。


「なんだよ、言え。言いかけてやめんの気持ちわりい」


それを許さない嵐。


彼の声には逆らえない不思議な力があって。


「……コンビニに行きたい」


正直にそう言えば。


「まさか、コンビニも行ったことないの?」


「……悪い?」


希璃人が助手席から突っ込みを入れてくるから、唇を尖らせた。

買い物は基本、目当てのブランドの店舗へ行くし、コンビニで売っているようなものならお手伝いさんが買いに行く。
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