BLUE ROSE ー今夜、私を攫ってー
家に帰ってから、麻美には連絡を入れておいた。
ドリンクを入れたら手が滑ってこぼしてしまい、びっくりして逃げ出してしまった……なんて、小学生でも通用しなさそうな言い訳を信じてくれて。
こうして今も目の前で、私が無事で良かったと笑ってくれている。
「ちょうどね、カラオケの監視カメラも壊れてたみたいんなんだー。だから事情が分からなくて、大騒ぎになっちゃったみたい」
監視カメラが壊れていたなんて、そんな都合がいいことがある?
……きっと、それも彼らの仕業なのかもしれない。
なんの組織なのかは不明だけど、そのくらい容易そうだ。
「誘拐されたかもって聞いた時は、心臓止まりそうだったよぉ」
私が部屋になかなか戻らず心配した麻美が、探しに出て。
私がどこにもおらず、外で待っていた柳田に報告──という流れだったらしい。