BLUE ROSE ー今夜、私を攫ってー
-5- 羨望
「ねえ、なんの騒ぎ?」
その日、移動教室からの帰り道。
渡り廊下付近にできた女子の群れに、私は首を傾げた。
普段は閑散としているとある一角が、異様な熱気に包まれていたのだ。
「なんだろうねー」
最初は同じように首をかしげていた麻美だったけれど、その直後「あっ」と声を上げる。
「もしかして、情報科の生徒が来るのかも」
「情報科の生徒?」
「うん。ほら月1でうちの視聴覚室使ってるじゃん」
「そうなの?」
特進科には、最新の設備が整えられた視聴覚室がある。
科は違えど同じ学校の生徒に学びのチャンスをということで、月に1回、普通科と情報科の生徒が、特進科の視聴覚室に出入りしている──
という麻美の説明に、私はふうんと相槌を打った。