BLUE ROSE ー今夜、私を攫ってー

うやうやしくお辞儀した柳田は、母から指示されたものを持ってくる。

白い手袋をはめ、それはそれは大事そうに。


テーブルの上に置かれたのは、つまりお見合い写真。


「月末には会えるけど、その前にお相手の顔が分かった方がいいじゃない?」


そう。

月末に、今世紀最大に気が重いイベントがあるのだ。


──政略結婚相手との顔合わせ、という。


そんなのまだ早いのに、両家の親が勝手に取り決めてしまい。

その日のための晴れ着も、先日仕立ててきたところ。


「いいよ、そんなの見なくても。会えばわかるんだから」

「ダメよ。知ってるのと知ってないとでは、心もちが違うでしょ?」


興味ないと言っても許されず。

有無を言わさず開かれるソレ。

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