BLUE ROSE ー今夜、私を攫ってー

宝生グループの次期社長は、5つ年上の兄が務めるとして。私は宝生が懇意にしている会社の御曹司と結婚させられると決まっている。


母もそうだった。


『政略結婚から始まる本当の愛もあるのよ』


うちの両親を見ていれば、それもあながち嘘じゃないかもしれない。

父は母を溺愛しているし、それに甘えて何不自由なくいつもニコニコしている母。


でもそんなの……私には無理。


政略結婚するくらいなら、結婚しないほうがマシ。


だけど、それすら認められないだろう。


宝生の家に生まれた瞬間から、自分の意志なんて持っちゃいけないんだ。


私に自由なんてない。

なに不自由のない暮らしをしているのに、私は不自由で仕方ないの……。
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