BLUE ROSE ー今夜、私を攫ってー

「うわっ、イケメンじゃなーい。やったわね、妃翠!」


まるで今日の合コンにイケメンが来るような女子高生のノリ。


なにが"やったわね"よ。

まったく。他人事だと思って。


相手は日本でも有数の大財閥”東三条財閥”の御曹司で、都内のセレブ高校に通っている私よりひとつ年上の高校3年生。


確かに写真の中の男性は、誰が見てもイケメンだと言うだろう。

明らかに育ちが良さそうな、爽やかな笑み。

キリリと整えられた眉に意思をもった力強い目は、利発さを覗わせ。

清潔感あふれる写真の中の彼は、きっと将来有望な完璧な御曹司なのだろう。


けれど、あまりに完璧すぎてこの笑顔が嘘っぽいとさえ感じるのは、やっぱり私がスレているからだろうか。


「行かないって言ったら?」

「んー、それはナシかな」
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