やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
第1章 今日、あなたにさようならを言う
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嘘だ、と誰かに言って欲しかった。
これはちょっとした余興、そう彼の誕生日パーティーの……
本当のことじゃない、って。
だけど、彼は皆に祝われて、囃し立てられて、肩を抱いていた彼女にキスをした。
そして、それを受けて皆で一斉に拍手した。
……私も。
指笛、口笛、歓声が幸せなカップルを包んだ。
誰も私なんか見ていない。
注目されているのは彼と彼女だから。
だから、無理に笑うのは止めて。
彼と彼女を見た。
見たくもないふたりを。
彼は周りの友人達から肩や背中を叩かれて、荒っぽい祝福を受けていて。
彼女の方もまた友人達に囲まれて、頬を染めながら微笑んでいて。
幸せそうな、お似合いのふたりだ。
そう思いたかったのに。
そう思わなくてはならないのに。
私の心はそれを拒否する。
私の心は涙を流して、出来たばかりの傷口からは血が噴き出している。
これはちょっとした余興、そう彼の誕生日パーティーの……
本当のことじゃない、って。
だけど、彼は皆に祝われて、囃し立てられて、肩を抱いていた彼女にキスをした。
そして、それを受けて皆で一斉に拍手した。
……私も。
指笛、口笛、歓声が幸せなカップルを包んだ。
誰も私なんか見ていない。
注目されているのは彼と彼女だから。
だから、無理に笑うのは止めて。
彼と彼女を見た。
見たくもないふたりを。
彼は周りの友人達から肩や背中を叩かれて、荒っぽい祝福を受けていて。
彼女の方もまた友人達に囲まれて、頬を染めながら微笑んでいて。
幸せそうな、お似合いのふたりだ。
そう思いたかったのに。
そう思わなくてはならないのに。
私の心はそれを拒否する。
私の心は涙を流して、出来たばかりの傷口からは血が噴き出している。
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