やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

33

 夜明け近くになって、ようやく眠れることが出来た。
 一昨日からの目まぐるしい展開に、身体は疲れていたのに、神経はピリピリしていて、体内時計が狂っていたのだろう。


 目覚めたのは、12時前だった。
 慌てて飛び起きた。
 オルはまだ居るのだろうか。

 気が焦って、足がもつれそうになりながら、リビングへ駆け込んだ。
 こんな時間まで眠ってしまうなんて。
 待って、待って!
 私になんの一言もなく、行ってしまうのだけは……


 良かった!
 バスルームからシャワーの音がしていた。
 オルはまだ『今』に居るのだ。
 ホッとして、すっかり彼のテリトリーと化しているカウチに座り込んだ。
 オルが使用しているブランケットをぎゅっと抱き締めた。



 どうしよう、こんなんじゃ……
 オルが居なくなったら、このカウチを見る度に、ブランケットを使う度に、あんなに残酷で優しい魔法士が恋しくて泣いてばかりになる。
 彼に対する恋心を封印すると決めたのは、自分なのに。
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