やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「……ペイジ夫人との関係ですか……
 年齢は私が7つ年下なので、幼馴染みとは言えませんが、幼い頃からお世話になっていました。
 私の実家がムーア家の隣だというのもあって、父が長年ムーア氏の顧問弁護士を勤めていました」


 フィリップスさんのお父様と言えば、愛の鞭を振るう人だ。
 私には、余り良い印象はない。


「母が早くに亡くなったのもあって、私はほぼ毎日と言ってもいい程、ムーア家でお世話になっていました。
 いつか、この御恩はお返ししたい、とずっと思っていました。
 父の法律事務所で働き出した私は、実質父の代わりにムーアの仕事をしていたんです」

「お父様の事務所は、モルガン&フィリップスでしょうか?」


 超超超一流の最大手の弁護士事務所だ。
 最近働いていた事務所を辞めた、と言っていたのは、ここのことだったんだ。
 名前を聞いたこともない侯爵家の顧問弁護士を三流、と片付けるのも無理はない。


「この度、事務所を離れて個人で始めるに当たって、父からは妨害されるかと思っていましたが、ムーアの仕事はそのまま譲ってくれまして。
 家は追い出されましたが、どうにか生きていけそうですよ。
 ここまでで、他に何かご質問はございますか?」


 そこで、私は聞くことにした。
 一昨日の夜のことだ。

 あの日、あんな時間に、あの場所で、私達が会ったのは……
< 126 / 444 >

この作品をシェア

pagetop