やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「改めて寄生するための再婚相手を探したが、張りぼての侯爵家と縁組をしたがる貴族は居なくて、モニカとの結婚を継続していながら、ディナに愛人になるように迫った。
 今も昔も本当に愛していたのはジェンだった、って」 


 オルはこれから8年後に起こった事実を話しているだけだけど、告げられた内容は、そうなんですかと聞き流せるものじゃなかった。


「は? シドニーはどこまでわたしを馬鹿にするの?
 本当に愛してるなら、愛人になれなんて言わない!
 わたしにそう言ったのは、お祖父様からの資金提供と取引再開を狙っているとしか、思えない!」



 叔父家族と忠実な使用人達と。
 強引に決別したモニカに味方して守ってくれるものは誰も居なかった。

 侯爵家は余計な邪魔が入らないように、モニカがひとりぼっちになるように、仕向けたんだ。
 シドニーの父親、セドリック・ハイパー・エドワーズこそが簒奪を企む者。
 それなら、もう少しちゃんとクレイトンの内情を調べるべきだったのに。
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