やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

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 泣くだけ泣いたら、いつか涙は枯れる。
 泣くまいと頭は止めようとするから、身体は拒んで、心はますます苦しくなる。


 母がよく言っていた。
 泣きたい時は、泣きたいだけ泣けばいい。
 そんな自分を見せたくないから、私は自分のベッドの中で泣くのよ、と。



 泣き続けるオルの手を握りながら。
 私も『こんな時は、抱き締めるのは許して』と言おうか、どうしようか、と葛藤していた。

 身勝手に自殺しようとしたモニカの毒のせいで、1年以上眠り続けている、という情報は私を驚かせ、怒らせ、悲しませたけれど。
 目の前でこんなに泣かれては、私本人も泣くタイミングを失ってしまって……


 今は色々とひとりで抱え込むことを選んだオルを、思い切り泣かせてあげようと思った。
 彼は頑張り過ぎたのだ。

 17ヶ月、仕事以外の時間、私の側に居て。
 眠り続ける私に、毎日毎日話しかけて。


 もしかして、泣いてはいけないとずっと17ヶ月間我慢していたの?
 そう思うくらい、こんなに泣く大人の男性は初めて見た。
 やがて、いつ枯れるのか、と思われた涙がようやく止まった。 


「ごめん……みっともないところを見せた。
 嫌になっただろ?」

 身も世もない感じで、泣き過ぎてしまった自分を恥ずかしく思ったみたい。
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