やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

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 眠る私に、オルは魔力を流し続けた。
 眠っていても、生きている。
 それを維持するために。

 だが、1ヶ月程前から、いくら魔力を流しても、上手く体内を巡っていないような気がした。
 彼の主は、特別に王城の御典医に私を診察させた。


『そろそろか、と……』

 言葉少なく、御典医はそう言った。
 とうとうその時が来たのだと、周囲はオルを慰めた。

 彼も同じ様に、その時が来た、と思った。
 だが、違う意味で。
 とうとうその時が来たのだと、思った。


 今こそ、少年の頃からコツコツと調べ、何度も師匠と話し合い、主に話を通し、頭の中でシュミレーションしてきたあの魔法、時戻しの魔法を使う、その時が来た!と。



 彼が時戻しで戻っている間は、師匠が責任を持って、代わりに私に魔力を流して生き永らえさせてくださっている、と言う。


 自分が生きるか死ぬかの瀬戸際の話を聞かされていても実感がない。
 オルの主や師匠が気遣ってくださっている自分の話なのに、御典医なんて出てくると、私ではない誰かの物語を聞かされているような感覚になっていた。
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