やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「確かに、君の言うように、18年前に無事に戻れたとして。
 前伯爵ご夫妻をあの列車に乗せないように、父上から言って貰うのは可能だ。
 だが、代わりに彼等の乗った馬車は帰国途中に事故に遭うだろうし、また船旅にしてもその航路で何かは起こる。
 君の父上が進言したからルートを変更して両親が亡くなれば、叔父がその死に関わっていた、と完全にモニカは疑う。
 最初乗る予定だった列車が、同じ時刻に脱線事故を起こしていたとしても」

「モニカの両親がその日のその時刻に亡くなることは、必ず決まっていた?」

「それは絶対に変わらない。
 俺達は時を巻き戻しても、人の生死には触れてはならない。
 生死は神の領域で、絶対に手を出してはならないものなんだ」
 
「……人の生死に関わらない、と魔法士の誓いを立てたのなら、亡くなりかけている私を助けるために、時戻しを行うことはいいの?」


 その時、この話を始めてから、初めてオルの瞳には輝きが戻ってきた。
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